2019年の人口に占める要介護認定者比率は70歳代後半で12.8%、80歳代前半で27.9%、80歳代後半で50.2%、90歳以上で75.9%と、加齢に伴い急上昇しています。
全体で668万人の人が要介護認定されています。
介護が必要となった原因は「認知症」が24.8%で最も多く、次いで脳卒中(18.4%)、高齢による衰弱(12.1%)となっています。
家族が要介護状態となったときの主な介護の担い手は同居の家族で、配偶者(25.2%)、子(21.8%)、子の配偶者(9.7%)となっています。
また、介護者の年齢分布を見てみると、60歳代(31.5%)、70歳代(22.3%)、80歳以上(16.1%)で、60歳以上が約7割で、高齢者が高齢者を介護する、いわゆる”老々介護”さらには、認知症の人が認知症の人を介護する”認認介護”も多数生じているものと思われます。
他方で、育児と親の介護を同時に担う”ダブルケア”を行う人は約25万人もいると言われています。
6割超の人が介護に負担を感じています。
認知症は、何らかの後天的な脳の障害のために正常に発達した知能が全般的かつ持続的に低下し日常生活に支障を生じた状態をいいます。
認知症の約7割を占めるのがアルツハイマー型認知症で、脳内にたまった異常なタンパク質によって神経細胞が破壊され、脳が萎縮することに起因します。約2割を占めるのが脳血管性認知症で、脳梗塞によって脳細胞に十分な血液が送られず、脳細胞が死んでしまうことに起因します。その他、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症もあります。
加齢が最大の原因であることから高齢者に多くみられ、65歳以上で何らかの介護・支援を必要とする認知症患者の推定人数は2025年には約700万人(65歳以上人口の20%)になると見込まれています。
脳血管疾患(脳卒中)には、脳の血管が詰まる脳梗塞と脳の血管が破れる脳出血、脳の血管の一部分に動脈瘤ができて破裂するくも膜下出血があります。
高血圧が長く続くことによる動脈硬化の進行が最大の原因です。
2017年の患者数は111.5万人に上り、高齢になるほどその数は多くなっています。
いずれにしても、高齢になるほどに、介護を必要とするリスクが急激に高まります。
総務省によれば、2020年9月、65歳以上人口が約3,617万人(28.7%)となった日本。
”介護のリスク”に対する保障の柱となる公的介護保険制度の利用者は年々増加しています。
2020年度の要介護(要支援)認定者数は657.4万人に達しており、今後も増加が見込まれます。
介護保険によるサービスの給付にかかる費用は、被保険者が負担する保険料と公費によりまかなわれており、利用者の増加とともに給付費の増加が見通されています。
受給者の増加により、保険料の上昇は続き、収入が減る高齢期の負担は増えつつあります。