排水システム

マンションの排水は、「汚水(※1)」、「雑排水(※2)」、「雨水」の3つに分類されます

 

※1汚水・・・トイレ排水

※2雑排水・・・台所、風呂、洗面、洗濯など

また、マンションの敷地内における排水方式には「分流式(※3)」と「合流式(※4)」の2種類があります。

 

 


※3分流式・・・汚水と雑排水を別系統の排水管で排水する

※4合流式・・・汚水と雑排水を同一の排水管で排水する

 

雨水は雨水専用の排水管で排水します。

 

また、排水の物理的方法の違いにより、「重力式排水方式(※5)」と「加圧式排水方式(※6)」の2種類があります。

 

※5重力式排水方式 ・・・立管と勾配のある横走り管とにより自然流下させる(高いところから低いところに流れる)

※6加圧式排水方式 ・・・地下に集まった排水(雨水など)をポンプで加圧し、高所(敷地排水管)へ排水する


【参考:マンション敷地外に対する下水道への排水方式では】

 

 ●分流式・・・  「汚水+雑排水」と「雨水」の排水系統を別々の下水道管に排水する方式のこと

 ●合流式・・・  「汚水+雑排水」と「雨水」を同じ下水道管に排水する方式のこと

 

※「雨水」を含むか、含まないかの違いとなります。この点マンション敷地内の場合とは異なります。

配水管の管径と勾配

排水横管の勾配は、流速が遅いと汚物やスケールが付着しやすくなり、また、流速が速いと汚物が取り残されたりします。

 

これらを放置すると、詰まりや、腐食による穴あきなどの原因となります。

 

このため、雑排水管の確実な定期清掃実施が大変重要となってきます。


また、汚物などをきれいに流すための適正流速は、0.6~1.5m/秒です。

適正流速を得るためには、排水管の管径(直径)により必要とする勾配が異なります。

 

排水管の管径(mm) 勾配
65mm以下 最小 1/50
75mm、100mm 最小 1/100
125mm 最小 1/150
150mm~300mm 最小 1/200

排水管の共用部と専有部

■共用部排水管

 

一般的には堅(立)管と言われる配管で、各戸からの排水管が接続されています。横主管も含みます。

 

共用部排水管は、「PS(パイプシャフト)」と呼ばれる専用の部分や、各戸内に露出した状態、又はブロック壁やボード壁で囲った状態で、上下に渡って配管されています。

基本的には共有配管として管理組合で管理する。

 


■専用部排水管

 

一般的には横枝管と言われる配管で、各戸の衛生器具(便器・流し台・洗面器等)から堅管までの排水管です。

基本的には各居住者の責任で管理します。 

 

配管されている部分により、次の2通りの配管方式があります。

床スラブ上配管方式

各住戸の床スラブの上に配管します。

 

床スラブ上に横引き配管スペースが必要で、スラブ上に木組み等で床を作ります。

 

(二重床) 配管改修時には、他の住戸に関係なく各住戸内で工事をすることが出来ますが、木組み床解体復旧等の付帯建築工事が発生します。

 

最近の分譲マンションで主流の方式です。


床スラブ下配管法方式

床スラブを貫通して下階の天井内に配管します。

 

配管スペースとして下階の天井が必要となります。

配管改修時には下階での工事が必要になり、工事時に下階の同意を得る必要があります。

 

漏水等の事故の場合、直ちに下階に被害を及ぼす危険があり、古い分譲マンション・賃貸マンション等で行われている方式です。

 

(この配管方式は、昔は分譲マンションでも採用していましたが、配管の所有所在が問題になり現在は採用されていません。)