総会の招集通知を行う際には「会議の目的たる事項」を示さなければならない、と区分所有法35条(招集の通知)で定められていますが、「会議の目的たる事項」とはどういうことなのですか。
この「会議の目的たる事項」とは、一般に「議題」(総会にかけて討議・決議する題目)と呼ばれているものであり、「役員の選任」「修繕積立金の値上げ」「給水管更生工事の実施」「規約の変更」というような議決の目的である事項を指しています。
区分所有法の35条5項には、「会議の目的たる事項(議題)が一定の重要事項の場合には、その議案の要領も併せて通知しなければなりません。」とあり、一定の重要事項とは次の通りです。
①「共用部分の変更」(17条1項)
②「規約の設定・変更・廃止」(31条1項)
③「建物の一部が滅失した場合の復旧」(61条5項)
④「建替え」(62条1項)
⑤「団地に係る規約の設定の特例」(68条1項)
⑥「団地内建物の一括建替え」(69条7項)
議案とは、総会で討議・決議するために提出する原案のことであり、例えば『規約□条中「○○○」を「△△△」に改める』というように議題について決議内容の案を示すもので、要領はその要約をいいます。
その内容は、議案によって異なりますが、区分所有者がその議案について予め意思決定が可能である程度に具体的かつ理解可能であるように示すことが必要です。
「議決権行使書」「委任状」による総会参加もあるのですから、議題、議案の要領については、意思決定が可能なように具体的に記載することが大事です。
総会の決議事項は、原則として招集の際に通知した議題に限られ(37条1項)、通知されなかった議題は決議できないことに注意してください。
したがって、「その他」という議題はその内容が不明でありますから議題として有効でないと解されていますので、議題として提示することは避けてください。
ただし、下記の場合は、この決議制限の適用がありません。
①通知のない議題でも、普通決議事項であれば、決議できる旨が規約に定めてある場合
(特別決議事項については認められません)
②区分所有者全員の同意により招集手続を経ないで開かれる総会の場合
(招集通知がありませんので、事前通知そのものがありません)
議題や議案の要領の通知がなかった場合の決議の効力は、その決議は効力を有しないのが原則です(※1)。
注意してください。
(※1)議題および議案の要領の通知を欠いた総会の決議を無効とした裁判の判決もあります。