総会の招集の通知の宛先について、区分所有者が当該マンション以外の場所に住んでいるような場合でも、招集者(管理者)がどこに住んでいるかをいちいち調査して通知しなければならないというのでは、管理上極めてわずらわしく不便です。
むしろ、区分所有者が自ら通知を受ける場所を届けておくのが適当と考えられます。
送り先(宛先)については、区分所有法で定められています。
基本は、区分所有者の専有部分の所在を表す住所に送ります。送り先が届けられている場合は、その場所に送ります。尚、賃借人には、送付する必要はありません。
そこで区分所有法では、総会の招集通知は、区分所有者が管理者に対して前もって通知を受けるべき場所を届け出ている場合にはその場所にすれば足りるとしています。
そのようにしてなされた通知は、通常それが到着すべき時に到達したものとみなされます(法35条3項)。
このことは区分所有者から通知場所の変更の届出がないかぎり、届出を受けた通知場所にあてて通知すれば、管理者は責任を免れることを意味します。
したがって「転居先不明」等で通知書が戻ってきた場合でも、管理者は通知義務を果たしたことになります。
管理者に対してこの通知場所の届出がされていない区分所有者については、管理者は、その区分所有者の所有する専有部分の所在する場所宛に通知すれば足りるとしています。
そしてそのようになされた通知も、また通常それが到達すべき時に到達したものとみなされます(法35条3項)。
また、この場合も「宛先所に見当たらず」等で通知書が戻ってくることがあり得ますが、管理者には、転居先等の調査義務はありません。返送されたからといって、その専有部分の所在する場所まで持参する義務もありません。
招集通知は、各区分所有者に対して個別にするのが原則ですが、区分所有法においては、建物内に住所を有する区分所有者又は管理者に通知場所の届出をしない区分所有者に対しては、建物内の見やすい場所(建物の出入口の掲示場等)に掲示するものと規約で、定めることができることとされています。
規約に基づいた掲示による通知は、その掲示をした時に到達したものとみなされます(法35条4項)。
ただし、この規約の定めがあっても、マンション外に居住していてそこを通知場所として管理者に届出ている区分所有者に対しては、個別に通知しなければなりません。