マンションの外壁は、最近は高級感と耐久性に優れたタイル仕上げに押され気味ですが、塗装仕上げがまったく使われないマンションはありません。
バルコニーの内側や共用廊下の壁など、外側から見えない部分は塗装仕上(吹き付けタイル)げとなっていることがよくあります。
タイル仕上げ(タイル張り)とは、コンクリートの表面を石材や磁器質のタイル張りで仕上げているもののことをいい、塗装仕上げ(吹き付けタイル)とはコンクリート面に対して合成樹脂とモルタル等を混ぜ合わせた素材を吹き付けて覆うタイプのことをいいます。
■見た目の美しさ
人によって感じ方に差はあり、好みの問題でもありますので一概にはいえませんが、前述の通り、一般的には吹き付けタイルのマンションに比べ、タイル張りのマンションの方が重厚感や高級感があるといわれています。
特にヴィンテージマンションなどで使われる一枚一枚丁寧に焼き上げられた磁器質のタイルなどは時を増すごとに色味の深さが増し、今の新築マンションなどではなかなか表現できない独特なコントラストや質感が表れます。
吹き付けタイルの場合は風雨による汚れや、劣化や地震などによるひび割れが目立つために美観を維持することが難しく、定期的な塗り替えが必要となります。
■施工にかかる時間とコスト
そもそもマンションの建設の際にかかるコストもタイル張りのマンションと吹き付けタイルのマンションとでは異なります。
タイル張りのマンションは職人さんが一枚ずつコンクリート面に貼付けていきますので、吹き付けタイルの施工に比べて手間やコストがかかります。
■強度・耐久性
マンションの寿命はコンクリートの寿命ともいえます。コンクリートが劣化し中性化していくと、鉄筋が徐々に錆び、膨張していくことで、やがてヒビ割れが生じます。コンクリートが劣化するのは雨や風、大気中の二酸化炭素、日光(紫外線)が原因とされています。
それらからコンクリートを守る為に外装をタイル張りにしたり、吹き付けタイルで覆ったりするのですが、一般的に吹き付けタイルよりもタイル張りの方が強度や耐久性が高いとされています。
タイル張りは分厚くて固いバリアで囲まれているというとわかりやすいかもしれません。吹き付けタイルの場合は地震などの影響で塗装面にヒビが入り、その隙間から水分が侵入してしまうといったリスクもあります。
■メンテナンス・修繕にかかるコスト
また、外壁は定期的なメンテナンスが必要になります。
タイルの場合は耐久性が高いため、よほどの劣化が無い限り張り替える必要はありませんが、吹き付けタイルの場合は大規模修繕のタイミングなど、10年程度ごとに塗り替えが必要になるため、その分、修繕費がかかることもあります。
ただし、タイル張りのマンションであっても施工がしっかりされていないとタイルが剥がれたり浮いたりすることもあり、万が一全てを張り替えるといった状況になってしまった場合は補修に多額の費用がかかってしまうこともあります。また、タイルが剥がれ落ちて通行人がケガをしてしまうといったリスクもはらんでいます。
以上のように、吹き付けタイルよりもタイル張りの方がメリットは多くあります。タイル張りはデザインの面もそうですが、機能的にもマンションを長持ちさせるために非常に有効な施工方法であるといえます。
ただし、きちんと定期的にメンテナンスがされていれば吹き付けタイルのマンションでも全く問題はありません。
吹き付けタイルの標準的な耐用年数は10年前後です。
塗料や建築用仕上げ塗材のおける一般的な劣化現象は、塗膜の表面部分より生じて、時間の経過と共に、内部へと進行していきます。
塗料や仕上塗材の塗膜の表面部分に大気汚染物質(塵埃・排気ガス)や生物汚染物質(藻類・カビ類)の付着から始まり、紫外線・熱・水分などにより、塗膜表面の塗膜形成要素が破壊されて劣化が進行します。
程度 | 劣化位置 | 劣化現象 | 劣化要因 |
低 | 塗膜表層部 |
汚れ付着 光沢低下 変退色 白亜化 上塗材ふくれ 上塗材割れ 上塗材剥がれ 摩耗 |
気象因子(日照・雨など) 大気汚染因子 |
中 | 塗膜内部 |
摩耗 塗膜のふくれ 塗膜の割れ 塗膜の剥がれ |
大気汚染因子等 気象因子 塗装下地からの劣化作用 |
高 |
塗膜全層 (素地を含む) |
摩耗 塗膜のふくれ 塗膜の割れ エフロレッセンス 素地からのひび割れ |
大気汚染因子等 気象因子 塗装下地からの劣化作用 素地自らの劣化 |
工程 | 調査概要 |
事前調査 |
概要把握を目的として、建築物の規模・構造・用途・竣工後の年数・立地環境・施工業者・改修工事履歴等について、新築時の設計図書や施工計画書等を調査する。 |
現地調査 | 現地において、目視及び各種の調査機器を用いて改修設計に必要な調査を行い、改修設計書を作成する。 |
施工調査 | 改修施工業者が施工に先立ち、設計図書に基づき、現場状況の確認を目的として行う調査です。この調査結果により、改修工事の範囲や必要数量及び劣化程度に応じた改修工法や材料が適切であるか確認し、施工計画書が作成されます。 |