コンクリートの補修工法

大規模修繕工事において必須となるコンクリートの劣化現象に対しての補修工法として、3種類に分けてみていきます。

 

(1)ひび割れに対するもの

 

(2)鉄筋露出・欠損などに対するもの

 

(3)その他(中性化・塩害など)に対するの


ひび割れ部補修

■注入充填工法

ポリマーセメントペーストすりこみ工法は動きのほとんどないひび割れについて、ポリマーセメントペーストや複層仕上塗材主材・エポキシ樹脂パテなどをひびわれにすり込むように充填し補修します。

●ひび割れ部シール工法

(主に幅が0.2mっ未満のひび割れに対応)

ひび割れ部シール工法は動きが大きい場合に用いられ、可とう性エポキシ樹脂を幅10mm、厚さ2mm程度に塗布する

●樹脂注入工法

●手動式

ひび割れの上に50~300mm間隔で取り付けた注入用パイプから、可使時間の短い中粘土のエポキシ樹脂をグリスガン等の手動式のポンプで注入する工法で、比較的簡便な方法であるが、施工者の経験に負うところが多く確実性では劣る。

●機械式

自動混合注入装置を用いて、ひび割れの上に50~300mm間隔で取り付けた注入パイプから、可使時間の短い中粘土のエポキシ樹脂を電動ポンプで注入する工法で、大規模現場向き、比較的高圧で注入するため、仮止めシールをしっかり打たないと漏れを生じるおそれがある。また機械の準備・調整や施工後の清掃にかなりの時間を要する。

●自動式

ひび割れの上に200~300mm間隔で取り付けた器具から可使時間の長い低粘土のエポキシ樹脂を自動的に低圧で注入する工法で、幅の狭いひび割れでも注入が可能で注入量を管理しやすい等の長所があるが、専用の器具が必要なことや工期が最低でも2日間必要となる点が短所です。

●Uカット工法

(主に幅が1.0mm以上のひび割れ及び挙動のあるひび割れに対応)

●Uカットシーリリング材充填工法

温度差などによる動きが大きいひび割れに対して、幅10mm、深さ10~15mmにU字型の溝を切り、切粉の清掃後、プライマーを塗布し、シーリング材を充填する。

●Uカット可とう性エポキシ樹脂注入工法

動きの少ないひび割れに対して、幅10mm、深さ10~15mmにU字型の溝を切り、切粉の清掃後、可とう性エポキシ樹脂を充填する。

鉄筋露出・欠損補修

■樹脂モルタル充填工法

 

コンクリート表面のはがれや欠損、鉄筋露出を補修する方法のことです。

エポキシ樹脂モルタル充填工法は、はがれや欠損が比較的深いものに対する工法で、ポリマーセメントモルタル充填工法は、比較的軽微なはがれや、浅い欠損に対する工法です。

 

ポリマーセメントモルタル充填工法は、最大仕上厚は30mm程度以下とし、これを超える場合はエポキシ樹脂モルタル充填工法を採用する。

■ジャンカ(豆板)補修

表面をはつり取り修復する方法では、不良部をはつり取った後、小面積の場合は、エポキシ樹脂プライマー塗布、パテ状エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂モルタルを充填します。

 

大面積の場合は、表面を水で湿した後ポリマーセメントモルタルを表面に充填します。

空隙部にエポキシ樹脂またはポリマーセメントスリラーを加圧充填するもあります。

その他の補修工法

■中性化抑止

 

 中性化抑止処理は、 表面に気密性の高い材料を塗布し、コンクリート内への炭酸ガス侵入を阻止する

 再アルカリ化処理は、  リチウムシリケートを主成分とする薬剤塗布や電気化学的方法により中性からアルカリ性に回復させる

 

■塩害対策

 

塩害防除用防錆剤塗布により、鉄筋表面に不働態皮膜を生成し鉄筋を腐食から守る

 

●躯体改修のための塗膜はく離

 

上記の中性化抑止、塩害対策の工法はどちらも既存塗膜を除去することが必要となります。

はく離の方法としては、

①超高圧水洗浄

②温水洗浄

③サンダー工法

④はくり剤使用

⑤超音波はく離機使用 の方法があります。

マンションの場合、いずれの工法においても問題点がありますので、どの工法を採用するかは十分に検討する必要があります。

 

●エフレレッセンス(白華)

 

白華(はっか)とは、コンクリートやモルタルの表面部分に浮き出る白い生成物のことである。

これが浮き上がる現象を白華現象(エフロレッセンス)という。

 

 

白華が生じたとしても、コンクリート構造物の強度には問題はなく、生成物も無害であるが、外見上の問題となることがある。