コンクリートの強度は、建物の耐久性に大きく影響します。
2009年版のJASS5では、計画供用期間の級が「短期(30年)」「標準(65年)」「長期(100年)」「超長期(200年)」の4水準となり、「超長期」では、1㎡当たり3600㌧以上の圧力に耐えられるものと規定されています。
※JASS5・・・日本建築学会建築工事標準仕様書
構造体コンクリートの強度の調査・診断は、一次診断において強度レベルの推定調査を行い、高次診断の必要性を判断する。
二次・三次診断の調査方法としては、反発硬度法、超音波法、小径コア法および標準コア法があげられる。
調査部位としては、駐車場、ロビー、廊下、階段室、その他の設備室などの共用部分とする。調査部材は、これら共用部分にある鉛直部材のうち、主要な構造部材から適宜選択する。
反発硬度法、超音波法、小径コア法、標準コア法のいずれにおいても床面から1~1.5mの高さの範囲で実施することを基本とする。
反発硬度法の試験位置は仕上材が施されていない打ち放し部材を対象とする。
これに該当する部材がない場合は、仕上材の撤去を行い試験する。
反発硬度法および超音波法を適用する部材は、躯体の厚さが10cm以上の部材を対象とする。
小径コア及び標準コアを採取する部材は、躯体の厚さが12cm以上の部材を対象とする。
測定箇所は、建物1棟につき3箇所を標準とする。
ただし、特定の階、方位に劣化が見られた場合は、その劣化部からそれぞれ1箇所ずつサンプルを追加する。
調査方法
反発硬度法とは、硬化コンクリートの表面をシュミットハンマーで打撃した時の反発度から、コンクリートの圧縮強度を推定する方法です。
測定に使用するシュミットハンマーには、普通コンクリート用、軽量コンクリート用など、コンクリートの品種におうじてそれぞれの衝撃エネルギーの異なる機種が準備されています。
コンクリートに密着させた端子から発振した超音波パルスの伝搬時間と距離によって、圧縮強度との経験的事実に基づく一応の相関関係で強度を測定するものです。
しかし、骨材や内部鉄筋の量と配置など多くの要因の影響を受けるため、音速のみによるコンクリートの圧縮強度の精度の良い推定は困難なことが多いです。
コアドリルを用いて所定の直径(75mm以上)のコアを採取する。
採取したコアを用いて圧縮強度試験を行います。
マンションにおいて、標準径コアの採取できる部位に苦慮することが多いため、50mm以下のコンクリートコアにより強度測定を行う。
コンクリート躯体の設計基準強度(Fc)を満足しているかいどうかを主な判断基準とします。
推定強度の平均値および最小値により評価を行います。
評価 | 評価基準 |
レベル0 | 設計基準強度を満足(最小値がFc以上) |
レベル1 | 部分的に設計基準強度を満たさず(最小値が0.8Fcから1.0Fc) |
レベル2 | 明らかに設計基準強度をを満たさず(最小値が0.8Fc以下あるいは平均値がFc以下) |