工事費を削減する方法の王道は、管理会社、分譲会社などと関係のない業者を広く公募して、いわゆる競争原理を働かせて、見積をとることです。
管理会社や分譲会社と日頃付き合いのある業者を複数紹介された場合などは、談合される恐れもあります。
特に管理会社は、修繕積立金の残高や、長期修繕計画の内容などを知っている立場なので、出来る限り、長期修繕計画通り、修繕積立金の残高いっぱいに見積金額を誘導する傾向にあります。
ですので、工事業者の公募方法は、業界新聞やインターネットで間口広く公募するようにします。
また、公募する時の応募条件として、例えば「過去3年間に、請負金額5千万以上の元請け実績が20件以上あること」などのハードルの高い条件を設定しないことです。
結果的に、このような条件を満足するのは、大手業者だけで、中小業者が排除されてしまいます。
工事業者に見積依頼する時に、工事項目(仕様)と数量が記載され、単価のみが空白となっている「標準見積内訳書式」が利用されます。
これは、複数の工事業者から見積提示を受け、業者選定する時に、工事項目(仕様)と数量は同じなので、価格のみを比較検討できて便利ということですが、問題があります。
結果的に、工事業者の経験が生かされず、見積額に大差ない状態となってしまいます。
10社前後の見積提示から数社を絞り込む、二次選択時には、やむを得ないですが、最終的に1社に絞り込む段階では、各業者の経験を生かして、工事範囲の絞り込み提案や、工事仕様の変更提案などを提案してもらい、競争してもらうことが必要です。
工事発注方法は責任施工方式でなく、設計監理方式で行う。
責任施工方式では、工事見積において、競争原理が働ないことで一般的に割高となってしまいます。
工事の実施時期を見直す。
一般的に2月~7月期間に行う「春工事」より、8月~12月に行う「秋工事」やお正月を挟む「冬工事」の方が工事需要が少なく安くなることが多い。
工事内容を吟味して取捨選択する。
緊急性や必要性の少ない工事や、足場が無くてもできる工事は延期する。
国や自治体の補助金を活用する。
国土交通省や経済産業省、都道府県市などに大規模修繕工事にも活用できる補助金制度があります。