そもそも大規模修繕工事て何?

計画修繕と改修の重要性

鉄筋コンクリート(RC)造りのマンションでも、時間の経過と共に確実に劣化します。

基本的にRC造りの建物は、錆びやすい鉄筋を強アルカリ性のコンクリートで保護することで、耐久性を確保しています。しかし、年月を経ると共に、強アルカリ性のコンクリートも空気に触れるうちに表面から次第に中性化していきます。

しかもコンクリートには、時間の経過と共に、ひび割れが生じてきます。そこから空気や雨水が入り込むことで中性化を加速させ、放っておけば、中の鉄筋が錆てきて、膨張して、コンクリートを内部から破壊する現象、これを「爆裂」と言いますが、起こり構造的に強度が保てなくなります。

 

こうした劣化の進行を遅らせ、居住性と資産価値を維持するために必要なのが、大規模修繕工事です。

 

上記の図は、国土交通省が推奨する、長期修繕計画に基づく計画修繕の考え方を示したものです。

図中の「補修」とは、欠陥や不具合を直すための工事。

「修繕」とは、劣化した部材や設備の性能・機能を竣工時の水準程度に回復させる工事。

「改良」とは、その時代に合った性能や機能を付加する工事のことです。

「修繕」と「改良」を合わせて「改修」と言っています。

12年前後の周期で行う「改修」工事を大規模修繕工事と言っています。

ちょっと、大げさな言い方?

一般的に行われている大規模修繕工事では、「下地補修(※1)」「シーリング工事(※2)」「外壁の塗装」「外壁タイルの補修や洗浄」「屋上およびバルコニーの防水工事」「廊下・階段床の改修工事や化粧防水工事」などが行われています。人間の身体に例えると、皮膚・筋肉に相当する部分の劣化を修繕するもので、エレベータ設備・機械式駐車場設備や給排水管設備など内臓・循環器系に相当する部分は含まれません。

 

極端な言い方をすれば、小さな火傷やハチに刺され腫れたところに薬を塗る程度のもので、その後、建物のお化粧の為に塗装しているようなものです。

 

だから、大規模修繕工事の実施時期が多少遅れたとしても、建物の倒壊の危機に瀕するものではありません。

 

むしろ、エレベータや機械式駐車場が動かなくなったり、給排水管設備から漏水などが発生したりすることの方が、たちまち生活に重大な影響を及ぼすことになります。

 

※1下地補修・・・コンクリートのひび割れ等の補修工事のこと

※2シーリング工事・・・窓枠・玄関扉などの開口部や部材の繋ぎ目の防水工事のこと