地震被害で地震保険の損害認定を受けるのに、自治体の発行する「罹災証明書」は必要なのでしょうか?
必要ありません。別個のものです。
「罹災証明書」とは、自治体から「被災者生活再建支援金」の支払を受けるために必要となるものです。
被災者生活再建支援法とは
自然災害に罹災し、住宅が全壊・半壊するといった生活基盤への著しい被害を受けた者に対し、生活の再建を支援するために金銭を給付する制度。1995年に発生した阪神・淡路大震災を契機として、1998年に成立しました。
被災者生活再建支援法では、支援金は都道府県から拠出しています。
被災の程度により給付される金額が異なり、例えば住宅が全壊した場合は最大で基礎支援金100万円と再建費用200万円の計300万円が支給される。
そして「罹災証明書」とは、自治体が発行する被災の程度を認定した証明書のことです。
自治体の被害認定と地震保険の損害認定は異なります。
地震保険による損害認定と自治体による被害認定の内容は同じではありません。
両社の認定基準が異なるため、地震保険で「半損」と認定された損害でも、自治体による認定では「全壊」と認定されることがあります。
ですから、地震保険の損害認定には「罹災証明書」は必要ありません。
罹災証明書の被害認定基準
自治体の認定被害は、内閣府により定められた「被害認定基準運用方針」により「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半損に至らない」の4区分になっています。
一次調査・二次調査があり、二次調査では外観目視調査と合わせて内部立入調査が行われます。
屋根・柱・床・外壁・内壁・天井・建具(窓やドア、サッシやふすま、障子他)・基礎・設備(水回り、システムキッチン、洗面台、ユニットバス、ベランダ他)の各部位の損傷率も確認されます。
地震保険の損害認定基準
地震保険の建物の損害認定は、主要構造部に着目して損害認定が行われるのが基本です。
従って、主要構造部でない雑壁や高架水槽、受水槽といった設備は損害認定の対象となっていません。
※主要構造部とは、柱や梁、屋根や壁など建物の構造を形作っている部分のこと
罹災証明書では「全壊」でも、地震保険で「全損」になるとは限りません。
自治体による被害認定では、主要構造部のみならず設備や建具までが被害認定されますが、地震保険では主要構造部の損害を認定するのが基本ですので、認定内容が一致するとは限りません。