「今度の管理員(管理人)さんは、何頼んでも、なんにもしてくれないわ!」
居住者:「1週間程、旅行に出かけるので、玄関ポーチに置いてある植木鉢に水をあげてくれませんか?それと集合郵便受けの郵便物も預かってもらえませんか?」
管理員:「それは、申し訳ないですが、出来ません。」
居住者:「留守番している子供の様子を少し、見に行ってくれませんか?」
管理員:「それは、申し訳ないですが、出来ません。。」
居住者:「部屋の電球が切れたので、交換してくれませんか?」
管理員:「それは、申し訳ないですが、出来ません。」
居住者:「前の管理員さんは、何でもしてくれたのに。今度の管理員さんは、何にもしてくれないわ!」
管あなたも管理員に「あれをやれ」「これもやれ」と、勝手に言っていませんか。
理組合が管理会社に業務の委託をする際は、管理委託契約書を交わします。
標準的な管理委託契約書に沿って業務内容をみてみましょう。
管理員は、
1) 受付等の業務・・・居住者などからの各種依頼事項の受付
2)点検業務・・・共用部管球切れや、設備不良の目視点検
3)立会業務・・・各種設備点検業者、特別清掃業者の立会
4)報告連絡事務・・・居住者・管理会社・管理組合などへの報告連絡や事務手続き
また、規模の小さいマンションでは、日常清掃なども管理員さんが担当している場合があります。
冒頭の事例のように、管理員業務の中に個人の所有物などに関する管理業務は含まれていません。
ましてや、留守番する子供の見守りなども同じです。
前の管理員さんは、善意で例外的にやってくれたのでしょうが、本来業務の範囲外であり、これを当然と考えてはいけません。
マンションによって、管理員や管理会社に管理組合が委託する仕事は変わってきます。
それを確認するのが、管理委託契約書ですが、実は、必ず、年1回(契約期間1年の場合)は管理会社からお住まいの皆様にその内容の説明が行われています。
管理会社は管理業務の委託を受ける前に、必ず区分所有者全員に対して、どのような業務の委託を受けるのかを説明することになっています。これは、今まで委託されていた管理会社が次年度の仕事を受けるときでも原則同じように説明会を開きます。
ただし、前年度と同じ条件で管理会社が管理組合に業務を委託される場合、あるいは同じ業務でももっと安く委託される場合は、説明会の開催のかわりに、全区分所有者に対して、その内容を記した書面を配付します。
つまり、全区分所有者は必ず管理会社に何をどう委託するのかがわかるようになっています。
その理由は、全区分所有者が委託内容を理解しないと、勝手に「あれもこれも」と仕事を押し付け、管理員・管理会社が本来の業務ができなくなるからです。
そんなことになると、最も不利益を被るのは区分所有者の皆さん自身となります。
基本的には、専有部分内の事項などは、管理委託業務外であり、管理員が対応すべきではありません。
下手に関与して、かえって、トラブルを招く可能性も大いにあります。
但し、高齢化が進む中、例えば「ゴミ出し」が高齢者では困難になってくる。
電球交換なども出来ない。
一人暮らしで「見守り」が必要な場合なども考えられます。
このようなケースに備えて、顔見知りで、すぐ傍にいる「管理員」さんが、求めがあれば、対応しあげるという仕組みも考えていく必要があります。
例えば「管理員」さんが、認知症サポーターの研修を受けていたら、家族の人も安心なのではないでしょうか?
そういった意味合いで、「管理員さん」の役割は、マンション・コミニュティー形成においてますます重要なポジションとなってきます。