高経年のマンションでは、専有部分のリフォームに関する規定が管理規約・細則等で整備されていないことも多いようです。
また、整備されている最近のマンションでも、管理規約や理事会において具体的なリフォームの技術的内容等が把握できないため、その適否を判断できないなど対応に苦慮する場面が多いようです。
1997年(平成9年)に標準管理規約にこの条文が制定されました。
第17条 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
2 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。
3 理事長は、第1項の規定による申請について、承認しようとするとき、又は不承認としようとするときは、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議を経なければならない。
4 第1項の承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
5 理事長又はその指定を受けた者は、本条の施行に必要な範囲内において、修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合において、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
公益財団法人マンション管理センターより「専有部分の修繕等に関する細則モデル」があります。
17条にわたり専有部分のリフォームに関する項目が定められ、さらに、工事実施の申請書等の書式も整備されています。
これには、共用部分や周辺住戸に与える影響を踏まえて、工事等をめぐるトラブルを未然に防ぐ為の守るべき手続きなどを中心に記載されています。
専有部分のリフォーム工事の届け出の制度や規制としては、多くのマンションで、「届け出のルール」「添付書類」「フローリングの規制」などが規定されています。
===リフォーム工事のルール(標準的内容)===
①申請期間・・・着工の1か月前申請
②工事時間・・・9時から17時
③工事禁止日・・・日祝日禁止
④近隣説明・・・住戸の左右上下、斜め上下は少ない。
⑤フローリング規制・・・規制あり
一方で、不適格工事等の現状回復等のルール、工事期間中の検査等のルールなどの規定整備はまだ少ないようです。
専有部分として施工可能な「内窓の設置」「断熱工事」は制限なしとしているところが多いようです。
共用部分との関連が深い「配管変更にかかる穴あけ」「サッシの変更」はリフォーム禁止としているところが多いようです。
これらの共用部分に絡むリフォームでは、ルールの明確化や技術基準の設定等が今後必要となってきます。
===禁止事項===
①建物の主要構造部に影響を及ぼす工事
②外観や景観が変更される工事
③消防法等の法令に抵触する可能性のある工事
===承認事項===
①水回り関連など他の居住者に迷惑を及ぼすおそれのある工事
②規模の大きな改修工事
③玄関扉や補助錠など共用部分と関連深い部位などに関する工事
申請手順など手順に関する記述は標準的に整備されていますが、技術基準に関する記述が少ない状況です。
それに加え、様々な事態を想定したより丁寧な内容が求められています。