平成25年の国土交通省のマンション総合調査によると、居住者間のトラブル発生において5.9%を占めています。
築年数が浅いマンションではリフォーム工事はまだ少ないかもしれませんが、築年数が経ってくると家族構成や年齢の変化に伴うリフォーム需要が出てきます。
また、中古住宅として購入した人たちが入居前に大掛かりなリフォーム工事をすることも増えています。
でも、忘れてはいけないのが、マンションの住戸は各区分所有者の所有ですが、何でも自由にリフォームすることはできないということです。
ガガガー、ガガガガー、ガガガー、ガガガガー、地震か? 地震にしては、なんかすごい壁や床に響く振動だ! 何だ。何が起こったのか!?
一体どこの部屋の人なの? 乱暴な資材の運び方をしている業者を雇ったのは? エレベーターの中も共用の廊下もあちらこちらに資材をぶつけた跡があり、傷だらけ。
え? 何? この○○リフォーム会社の車? 私の駐車場になぜ勝手に停めてるの?
わが家の玄関扉をガラス入りのものに変えたら、管理組合に叱られた。なぜなの? どうして?
住みなれた環境の中で、新たな間取りや内装にして暮らす、それはとても魅力的なことですね。但し、何でも自由にリフォームすることはできないということです。マンション居住者がお互いに快適に、そして安全に暮らすには、各マンションのルールを守ることが必要なのです。
①構造に影響を与える工事
隣の住戸を購入し、2つの住戸をつなぐために勝手に壁を取り除いた事例や、ユニットバスを入れるために梁はりなどの建物の大事な躯体を解体した事例があります。これでは、建物の構造に影響を与え、安全性が低下します。
②全体の防火性が低下する工事
区分所有者が、玄関ドアを和風にしたいとガラス入りドアにしたり、ベランダを囲う事例があります。これは、共用部分であり、個人で勝手に改造できないだけでなく、マンション全体の防火性が低下することがあります。
③近隣住戸に迷惑となる工事内容
リビングが絨じゅうたん毯敷きだったものをフローリングにしたら、下の階の住戸に大変響き、大きなトラブルになった事例があります。
④共用部分への配慮不足
リフォーム用の資材搬入により、共用部分を傷つける、工事作業員の車がマンション内に不法駐車となっている、あるいは多くの工事作業員の出入りで、マンション内に見知らぬ人が多く出入する等が問題となっている事例があります。
⑤近隣生活を脅かす工事の仕方
床を解体する、間仕切を撤去する、タイルを剥がす等の大掛かりな工事による騒音、また夜間や休日の工事により、近隣住戸の快適な暮らしが阻害される事例があります。
こうした困った事例を出さないためにルールをしっかり作り、規約や使用細則で明記、運用し、区分所有者のマナーを高めましょう。
①リフォーム工事の内容の指針をつくります。
どんな工事ができるのか、あるいはできないのか。これはマン ションによって違います。例えば、マンションによって遮音性能が異なるため、フローリングのための具体的に床衝撃音の遮音等級L値を定める等があります。また、構造によっては住戸間の壁を一定限度で撤去が可能な場合があります。マンションにあった指針が必要です。
②リフォーム工事承認のルールを作ります。
工事の前に管理組合に届出をし、理事会の承認を得ます。その際 に、近隣の了承を得て、工事内容が分かる図面(設計図、仕様書、工程表等)を付けて管理組合に届け出ます。提出書類の部数や、工事の何日前に提出するのか、どんな工事が該当するのかも決めておきます。
③リフォーム工事実施のためのルールを作ります。
工事可能な日時、リフォームのための資材置き場や搬入方 法、工事人であることの表示(腕章義務付け等)や休憩場所、工事用車両の駐車スペース、共用部分の養生の仕方、ゴミの処理などです。
④居住者全体に工事の内容を知らせることも必要に応じて大切です。
振動や騒音を含め、マンション全体の居 住者に何らかの影響を与える可能性があるからです。また近隣に配慮するマナーを高めます。少なくとも上下両隣には、所有者自らが挨拶に行き、工事期間や振動・騒音の可能性等を説明します。事前に分かることで問題予防につながります。
⑤共用部分の計画修繕の情報を区分所有者にしっかりと伝えます。
折角したばかりのリフォーム部分を撤去し て共用部分の工事を行うことを避けるためです。管理組合が共同で管理する範囲を明確にすることも大事です 。
あれだめ、これだめのルールでは、マンションで快適に暮らせませんね。
どんなリフォームなら可能であるか、どんな工事の仕方が近隣へ迷惑を最少にできるのかのアドバイスがあれば、よいですね。そこで、適切なアドバイスをしてもらうために専門家を活用することも大事になってきます。