ベランダで喫煙する事で隣近所の方が煙の匂い等に対して苦情を寄せる事例が増えています。
平成24年12月には、再三の抗議にも拘わらず、マンション階下の居住者がベランダでの喫煙を継続していることにより、そのタバコの煙が流れ込み、原告が体調を悪化させ、精神的肉体的損害を受けたとして、不法行為に基づく精神的損害に対する慰謝料を5万円とした裁判例もあります。
「自分の部屋の壁紙がタバコのヤニで汚れるのが嫌だからて、ベランダで喫煙するのは自分勝手すぎる!!」
「子供によくないからとベランダで喫煙する位ならやめたらどうだ!!こっちはどうなるんだ。」
「少しぐらいいいじゃない。だって管理規約にもベランダ使用細則にも喫煙禁止なんて書いてないわよ!!」
訴えたのは、名古屋のマンションに住む女性。室内にいたところ、タバコの煙が入ってくるのを感じ、階下のバルコニーの男性のタバコを火元として特定、口頭や手紙で、自室で吸うように求めたという。
しかし、男性は応じずにバルコニーで喫煙を続けたため、女性はタバコの煙で体調が悪化したとして提訴。裁判所も女性の健康被害を認め、賠償金として5万円の支払いを命じたという裁判例もあります。
ニオイのクレームとしてもっとも多いのはペット、2番目に生ゴミ、3番目にタバコです。ただ、今回のように裁判になること、さらに健康被害があったと判定が下るのはかなりレアなケースです。
というのも、こうした隣人同士でトラブルになった場合、実際は判決に至る前に調停などで和解することが多いし、何より健康被害を立証するには、相当の証拠と根気が必要です。
それ故に、タバコのニオイをあげて、「即、裁判!」となる事例は少ない。
今回の判決でも、女性側の再三の申し入れに対して、男性側が無視したことにがポイントとなっているようです。
では、近隣のタバコで悩んでいたら、どうしたらよいのでしょうか?
現実的な解決策には、大きく2つの方法があります。
まず、タバコを吸っている人が分かっている場合。
住人同士で話し合い、室内で吸ってもらう、喫煙時間をずらしてもらうなどの妥協案を探ってみよう。特に朝や昼のタバコは「洗濯物にニオイがつく!」という声が多いので、バルコニーで喫煙するなら夕方以降などとお願いするのがいいかもしれません。
一方で、タバコを吸っている人が分からない場合は、マンションの管理組合や管理会社に相談してみましょう。ただし、マンションの管理組合や管理会社では、喫煙している人を見つけ出して、直接注意するということは行っておらず、掲示板に張り紙をするのが一般的な対応です。
その他アンケート調査をして、その結果を喫煙者・非喫煙者双方に知らせることも解決策の一つです。
お互いの考え方や状況を把握できて、配慮する一歩となります。
さらに強く呼びかけたいなら、管理規約でバルコニーでの喫煙禁止とするのもひとつの方法です。規約改正には管理組合の総会での3/4以上の同意が必要ですが、これによりはっきりと喫煙禁止と訴えることができます。
いずれにしても普段からの住人同士の交流やコミュニケーションが問題解決のカギになります。
反対に、隣人からタバコのニオイが気になると言われたなら、どのような対策があるのでしょうか?
よくあるのがキッチンの換気扇下での喫煙だが、意外にもこれがクレームになることもあるのだとか。というのも、タバコの煙がダクトを通って排気されるため、かえって近隣の迷惑となってしまいます。
となると、現実的な方法としては、室内に喫煙スペースをつくるのが最後の手になるのかもしれません。
風通しのよい部屋にニオイの吸着機能のある壁紙を貼る、もしくは壁材にすると、ニオイ対策だけでなく変色も防げる。また、専用に空気清浄機・脱臭機を設置すると、気になるニオイをやわらげてくれるはずです。
最近では、光触媒加工してあるエコ・プラントなどもあるので消臭対策兼インテリアとして置くのも有効です。
ひと口にタバコのニオイといっても、気にならない人、苦手な人とさまざま。
お互いに配慮しつつ、気持ちよく暮らせるよう、良い方法を見つけ出したいものです。