騒音問題の苦情処理方法

居住者から「騒音問題」の苦情が、管理組合や管理会社に持ち込まれた場合は、どのように対処したら良いのでしょうか?

 

◆不介入という対処の仕方???

 

「生活音に伴う騒音問題は、当事者間の問題で、管理組合や管理会社は仲裁などの苦情処理は行わない。」

という方針の管理組合・管理会社もありますが、当事者間だけでの問題解決は困難で、感情的な対立となってしまう場合が多いです。

 

また被害者側・加害者側の双方にっとて、日々深刻な問題であり、放置すれば【事件】に発展する可能性もあります。

 

下手に介入すれば、管理組合役員や管理会社担当者が恨みを買う事もありますが、【公正な第三者】として仲裁などの対処をすべきと思います。

 

そのためにも、居住者でなく、管理組合員でもない、専門家で第三者であるマンション管理士が、管理組合管理者として対応するのが望まれるところです。

騒音の発生方向と音源(日本建築学会より)

発生方向 上階より 下階より 隣戸より 隣棟より
比率(%)  65.2% 17.1% 12.3%  5.4%
1 飛び跳ねる 玄関扉の開閉音 玄関扉の開閉音 布団を叩く音
2 走り回る 襖・引戸の開閉音 話声 楽器の音
3 足音 飛び跳ねる 子供の声 子供の声
4 便所の給排水音 バルコニー物音 テレビ・ラジオの音 話声
5 バルコニー物音 走り回る 布団を叩く音 バルコニー物音
6 家具・椅子 便所の給排水音 楽器の音 テレビ・ラジオの音
7 玄関扉の開閉音 楽器の音 エアコンの音 エアコンの音
8 布団を叩く音 階段・廊下の音 便所の給排水音 階段・廊下の音

【日本建築学会アンケート調査より】マンションにおける騒音の発生原因の多くは上階であることが分かります。

そして、床・天井を介しての振動音が問題となるケースが多いようです。

 

苦情を受け付けた場合は、まず、「実際どの程度のものなのか」を【公正な第三者】として、状況を把握する必要があります。

騒音の現状を把握する

被害者の居室にて、騒音の現状(程度)を把握します。

 

実際問題として、騒音がそれほどでないと感じる場合もあります。

騒音問題は、主観的問題ですので、気になりだしたら、ささいな音でも「騒音」として、「がまんならない雑音」となるものです。

 

但し、「たまたま、それほどでもなかった」かもしれませんので、そのようなときは、時間帯などを変更することもしながら、何度か現状把握する必要があります。また、一人でなく、複数人で確認します。

 

◆「それほどでもない」評価の場合

 

結果、「それほどでもない」との評価の場合は、その旨を率直に被害者側に伝え、「気にしないように」に助言し、しばらく様子を見てもらいます。

 

それでも、被害者側が納得しない場合は、第三者としての評価も含めて、騒音問題に悩む被害者がいる事情を説明し、できるだけ注意頂くようお願いします。

 

◆「騒音は確かにひどいレベルである」との評価の場合

 

逆に「騒音は確かにひどいレベルである」との評価の場合は、第三者としての評価も含めて、騒音問題に悩む被害者がいる事情を説明し、物理的な改善策も示しながら、改善対応を依頼します。

物理的な改善策

◆飛び跳ねる音・走り回る音・室内の音の場合

 

・厚手のカーペットを使用する事で、遮音効果を高める事ができます。 

 ・それでも下の階の方が『歩く音がうるさい!』と言ってきたのであれば、カーペットの下に防音シートや畳を入れる事で音をシャットアウトできます。

 

・特に表面がコルクに覆われているタイプのジョイントマットが防音に有効です。 

クッション性に優れたジョイントマットは、歩行・走行・落下などによって発生する音と衝撃を大幅にカットし、フローリングの床が傷つくのも防いでくれます。

◆家具・椅子の音

 

・椅子足カバー/ソックス/シート/フェルトキャップ

 

◆便所などの給排水音

 

・深夜はできるだけ、お風呂、トイレ、洗濯などをしない

 

・水を使いすぎない(水を出す時は蛇口を開きすぎないようにしましょう。 また、トイレの水も一回の排水で出る水の量を調整しておくようにしましょう。)

 

・防音材を利用する(排水管の周りに吸音効果のあるグラスウールを巻く、洗濯機の下に衝撃吸収用のゴムパッドを設置するというように騒音に対する適切な対策を行うのが重要です。)

◆玄関扉の開閉音

 

・ドアクローザの開閉スピード調整

・シールテープ+遮音シート

 

◆話声・子供の声/テレビ・ラジオの音/ペットの鳴き声/楽器の音

 

・夜などは、窓・アルミサッシなどを閉める

・壁際に音の発信源を置かない

・壁際に背の高い家具を置く、特に本棚は効果的です。

・厚手のカーテン

 

◆バルコニーの物音

 

・夜などは、バルコニーで話や作業をしない

 

それでもダメな場合

管理組合役員(第3者のマンション管理士がベストです)が間に入って、話し合いの機会を設けます。

 

・マンションの構造上、「音」が響きやすい構造であること。

・従って、「お互い気配りする必要があり」、また「あまり気にしすぎないこと」

の2点を再確認して、お互いに善処することを約束してもらいます。

 

そして、以後は管理組合として関与しないことも伝えておきます。

 

また、裁判沙汰となっても、根本的な解決とならないことを裁判事例なども含めて伝えておくのが良いでしょう。