【理事長】先日、〇〇〇号室で、孤独死があったんだよ。
【管理士】事後処理など大変だったでしょう。
【理事長】そうなんだよ。最初は、親族などの連絡先もわからないし。遺体の処置や住居の後片づけの費用負担の問題もあったりで、とにかく大変だったよ。まさか内のマンションで起こるとは考えもしなかったからね。
【管理士】でもこれからは、管理組合として備えておくべき喫緊の課題ですね。
2020年には、65歳以上人口は3,600万人、実に3人に1人となります。
2025年には、いわゆる団塊世代の人々が、一気に75歳以上の後期高齢者になります。
その数2,200万人弱となり、5人に1人が75歳以上となります。
2018年マンション総合調査によれば、マンションにおいても約50%が60歳以上の世帯主です。実に2戸に1戸です。また、60歳以上では、65%前後が「終の棲家」と考えています。
築年数の古いマンションでは、「高齢者夫婦のみ世帯」や「高齢者単身世帯」が激増しています。
また最近は、戸建ての住宅を売却し、バリアフリーな造りで、都心にも近く、生活に便利なマンションに移り住む高齢者世帯も増えています。
「高齢者単身世帯」は、いわゆる「孤独死」という事故につながる危険性もあります。
【埼玉のある団地の例】
●80歳の男性が死後1年近く経過して発見された。
●男性の部屋の近隣は空き室が多く、発見が遅れた。
●同団地では、死後1週間以上発見が遅れた孤独死は、この男性を含めて3件目であった。
●同団地は築後50年となり、老朽化で空室が目立っていた。
これからのマンションには、ハード面だけでなくソフト面でも住人が安心して暮らせる仕組みを用意しておくことが必要です。
エレベーター、スロープ、手すりの設置など共用部分のバリアフリー化対応は、もちろんのこと、高齢者住人の日常生活を支えるコミュニティ作りも管理組合の重要な活動内容となってきます。
例えば、近隣住民も含めた、高齢者が参加する各種サークル活動やボランティア活動の支援。
管理組合員や管理員による専有部分内の電球交換、家具移動、簡単な修理対応、ゴミ収集、買物支援などの家事サービスの実施、災害時の高齢者世帯への支援策も検討する必要があります。
ソフト面としての最も重要ポイントは、年金・介護・相続などについて、住民の身近な存在として「かかりつけ医」のように相談できる窓口があれば、安心して暮らせます。
体力だけでなく、年金生活となり経済力も低下していく中、もうひとつ重要な対策は、住民一人一人の老後の生活設計をサポートする体制が必要です。
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など様々な不安や疑問があります。
これら、年金・介護・後見人制度・相続などの不安や疑問を相談できる窓口が管理組合としてあれば、住人にとって大いに安心できる環境となります。
①どんな高齢者がどのようにに住んでいるのかを把握しておくこと
②相談窓口が身近な存在として設置されていること
③組合として、支援策を検討しておくこと
身近な存在として、年金・介護・相続などについての相談窓口などを持つことは、マンションに住む高齢者も高齢者以外の人も安心して暮らせる場所となり、マンションの資産価値も上がることになります。
どんな人が住んでいるのか把握するためにアンケート調査から初めてみてはどうでしょうか?