マンション管理会社にマンション管理を丸投げしているマンションは、丸投げしていないマンションより数千万円から数億円レベルの損をしています。(マンションの規模等で異なります)
あなたが支払う管理費や修繕積立金が数十万円から数百万円レベルで損をしているとしたら・・・どうしますか?
ほとんどのマンションでは、数年毎に修繕積立金が値上がりしていて、「丸投げ」では分譲当初の10数倍になってしまいます。
売りやすくするために、分譲当初の修繕積立金は、数年毎に値上げすることを見込んで、著しく安く設定されて販売されています。
しかも、管理会社からの各種の見積提案には、常に10%~40%の粗利が含まれています。
マンション管理は管理会社が行うものだと思い込んでいませんか?
大手のマンション管理会社だから安心だと思いこんでいませんか?
あなたの住むマンションに問題がないと思っているのは、あなたがマンション管理に無知で無関心だけだからとしたら・・・
前年に大規模修繕工事を実施した築14年の戸数88戸のあるマンションでの実話です。
管理会社から長期修繕計画が再作成されて、管理組合に報告がありました。
分譲当社は37円/㎡だったこのマンションは過去に二度すでに値上げをしており、当時は150円/㎡でこのときすでに4倍に値上がりしていました。
今後30年間に7億円強(税抜)の修繕積立金が必要になるとのことで、値上げは繰り返され、10数年後には、360円/㎡にする必要があるとの提案でした。
もし、7億円の中に、10%~40%の粗利が含まれているとしたら、7千万円~2億8千万円にもなります。
京都にある自主管理しているマンションでは、管理組合が直接発注することで平均30%のコストダウンを実現しています。これは経済評論家 荻原博子さんの著書「生き返るマンション、死ぬマンション」にも書かれている内容です。
私が支援したあるマンションの屋上防水工事でも、管理会社の子会社提案で1,900万円だったものが、管理組合が別の会社に直接発注することで1,100万円になりました。
800万円(42%)ものコスト削減ができました。
管理会社は常に10%~40%の粗利を乗せて管理組合に見積提案しています。
図は日本ハウジング株式会社の2022年3月期のIR情報です。日本ハウジングは管理戸数48万戸を誇る業界No 1の会社です。
2021年3月期の損益計算書によれば、サービス業でありながら売上総利益率は24.3%です。言い換えれば、75.7%の売上原価がかかっていることになります。
この業界の特徴は、管理員業務・清掃業務・各種の保守点検業務、建物設備の営繕工事業務など殆どの業務が下請け発注されているところにあります。
その売上構成を見ると、1,246億円の内、マンション管理事業は540億円(43.3%)、営繕工事事業は525億円(42.1%)、ビル管理事業91億円(7.3%)、不動産管理事業60億円(4.8%)、その他事業30億円(2.4%)となっています。
すなわち、マンション管理会社は、マンション管理事業だけでなく、営繕工事事業の売上がなくてはならない事業構造となっていることです。
大規模修繕工事やそれ以外の営繕工事の工事売上がどうしても必要な収益構造となっています。
他の大手管理会社も工事売上の比率は50%前後で、同様の収益構造となっています。
図は、国土交通省による「大規模修繕工事に関する実態調査」報告書の一部です。
工事を発注しようとする管理組合等が適正な見積かどうかを検討する際の指標となるように報告されました。
大規模修繕工事の発注等における施工業者の選定に際して、発注者たる管理組合の利益と相反する立場にたつ設計コンサルタントの存在が指摘されおり、2017年に通知(行政指導)が行れています。
注意喚起を図るとともに。相談窓口を周知していますが、それでも状況は改善されないので、2020年実態調査を行い、その内容を公表しました。
国土交通省のプレスリリース文書によると、設計コンサルタントが、自社にバックマージンを支払う施工会社が受注できるように不適切な工作を行い、
割高な工事費や、過剰な工事項目・仕様の設定等に基づく発注等を誘導するために、格安のコンサルタント料金で受託し、
結果として、管理組合に経済的な損失を及ぼす事態が複数あったとのことです。
設計コンサルタント役は、管理会社や子会社の建築事務所部門が担う場合もあります。懇意にしている設計事務所が担う場合もあります。
これらの設計コンサルタントが、工事仕様を作成し、それを元に見積作成依頼を行い、施工業者選定の支援を行います。また、その後の工事監理なども行います。
私の経験でも、複数の施工業者から一応見積を取得しますが、発注先は既に決まっていて「出来レース」的な場合もあります。