マンション建替え実現可能性は1%以下

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ディー・エヌ・エー(DeNA)グループで、マンションなど建物の修繕工事などのDXサービスを提供するスマート修繕。

旭化成不動産レジデンス株式会社マンション建替え研究所所。

この2社が「老朽化したマンションの建替えに関する勉強会を開催しました。

そこで、分譲マンション建替えの実現可能性は1%以下という報告がありました。

 

分譲マンションも築40年超えとなる頃には、最終的にマンションをどうするのか。

「建替えするのか」「長寿命化するのか」「敷地一括売却するのか」などを考えはじめなければいけません。

遅くとも4回目の大規模修繕工事(築60年頃)前には、方針が決定しることが望ましいです。

 

合意形成には最短でも10年以上の期間が必要です。早めの検討開始をおすすめします。

 

関東圏では「0.7%」関西圏では「0.3%」

 勉強会では、関東・関西にある分譲マンションにおける建替え実現の可能性が報告されました。

 

試算の結果、一戸あたり2,000万円を負担しても建替え可能なのは関東圏ではわずか「0,7%」、関西圏では、「0.3%」となりました。

 

関東・関西以外では、土地の評価が低いため、マンションの建て替え後の価値よりも、建替えにかかる費用が上回る可能性がある。そのため、地方でのマンション建替えはより困難となる見通しとのことです。

 

(※1)関東圏・・・東京、神奈川、埼玉、千葉、茨木、栃木、群馬

(※2)関西圏・・・大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山、三重

 

平均負担額は「1,941万円」、累積の建替え実績は「1.75%」

国土交通省によれば2017年〜2021年のマンション建替え実績の平均負担額は、1,941万円とのことです。

  

また、2024年末迄に建て替えた累積の実績戸数は、約24,000戸です。

2023年末の築40年超えのマンションの総戸数は1,369,000戸ですので、わずか「1.75%」です。

 

現実も試算結果とほぼ同様の状態です。

 

今回の試算では、2,000万円の本人負担でも建替えは、非常に困難であるとの試算結果となっています。

 

そして近年の建築資材や人件費の高騰で、さらに本人負担額が増加していくことが予想されます。

 

建替え後のマンションに需要はあるか

築40年超えの分譲マンションは、136.9万戸(2023年)から463.8万戸(2043年)と20年間で3.4倍に増加します。

 

20代、30代、40代の人数は減っていきます。一方、70代、80代、90代の人口比率は増加します。

住宅の新規需要者は減っていく中、新築分譲マンションは一定数建設されると見込まれます。

そんな中、建て替えたマンションにどれだけの需要があるでしょうか?

 

よほど優れた立地条件などなければ、建て替えたマンションの余剰住戸に需要はないでしょう。

需要がなければ、本人負担額はさらに増加します。

 

一方で、高経年マンションは確実に増加していきます。

 

高経年のマンショを修繕などしないで、放って置くと、空き住戸が増えて、やがてスラム化していきます。

スラム化したマンションは周辺環境に悪影響を与えます。

ますます、マンションの資産価値は減少しいきます。

 

※余剰住戸の販売は、マンション開発業者の収益源となり、開発コストに充当されます。

早めの終活検討開始を

築40年超えのマンションは、最終的に自分のマンションをどうするのかという「就活」の検討をはじめなければなりません。

 

マンションの就活方法は大きく「3つ」あります。

1)建替え(今ある建物を取り壊して建て直す。そこに再び移り住む) 

2)長寿命化(給排水管の更新・断熱化などを行い、築100年まで住める資産価値のあるマンションにする) 

3)敷地一括売却(建物を取り壊し、敷地を一括売却して、管理組合を解散する)

 

この結論を得るには、全員または4/5以上または3/4以上などの組合員(区分所有者)の賛成が必要です。

(近い将来、法律が改正され緩和される予定です)

多くの過去事例では、合意を得るまでに、どんなに短くても10年以上の歳月を必要としています。

 

一刻も早い、検討開始が望まれます。

 

自らが住み、所有する家の終活をどうするかは、大変重い決断です。

建替え、長寿命化、敷地一括売却いずれを選択するにも、それなりの「お金」が必要です。

 

分譲マンションですから、自分一人の決断だけでは、どうにもなりません。

 

多くの区分所有者との合意が必要となります。

 

積極的にかかわらなければ、時間だけが過ぎて行きます。そして、スラム化します。

 

専門家を交えて、検討を開始しましょう。