自己契約・双方代理とは?
同一の法律行為について、「相手方の代理人になったり、当事者双方の代理人になったりした行為」については、代理権のない人がした行為とする。
あらかじめ了承済みの場合は、この限りではない。
また、「代理人と本人との利益が相反する行為」についても、代理権のない人がした行為とする。
この場合も、了承済みの場合は、この限りではない。
と民法108条に記載されています。
本人=管理組合 相手方=管理会社 の関係において、管理会社が管理組合の代理人となる法律行為(契約など)は原則禁止ということです。
利益相反取引とは?
複数の当事者がいる取引において、一方が有利になり、他方が不利益を被ることを「利益相反(りえきそうはん)」と呼びます。
X社は売り手、Y氏は買い手とします。
売り手は高く売りたい。買い手は安く買いたい。
ここでX社の所有する土地を、X社の取締役であるY氏が相場より安い値段で買う契約をしたとしたら、Y氏は得(有利)しますが、X社は損(不利益)をすることになります。
自己契約や双方代理の関係と同じになってしまいます。
X社を管理組合、Y氏を管理会社の社員だと考えてみましょう。
そして、管理会社の社員であるY氏に、管理組合の管理者なってもらったとします。
大規模工事工事を行うとしたら、管理組合は安く工事を発注したい。
管理会社は高く工事を受注したい。双方の利益は相反します。
この時Y氏は、どうするでしょうか?
多くは、管理会社の利益を優先した契約をするはずです。
ここに、管理会社が管理者となる場合の大きな懸念事項があります。
ましてや、理事会を廃止して、総会のみで、チェック機能を働かすことは、まず。不可能です。
国土交通省の見解
管理会社の業界団体であるマンション管理業協会は、総会決議されていれば問題ないという見解を示しています。
しかし、有識者も含めた審議では、2015年3月、3年にわたる検討会の結論を報告しています。
「区分所有者の利益の追求と管理業者としての企業利益の追求とは、立場、目的が異なるのみならず、どちらかを重視すれば、他方が損なわれるトレードオフの関係にあることから、常に管理組合の立場のみに立って管理組合を支援し、資産価値の最大化を図ることができるとは言い切れない」という見解を示しています。
管理会社が売上・利益を追求するのは当然のことです。だからこそ、管理組合には、管理組合の利益を守る立場で管理者(理事長)を努めなければなりません。
管理会社でなく、マンション管理士が管理者となる第三者管理方式
しかし、区分所有者の無関心、知識・経験のなさ、なにより仕事を抱えながら、理事長業務などを行うには、圧倒的に時間が不足すという現実があります。
この問題を解決する方法が、マンション管理士が管理者となり、管理組合の利益を守る立場で管理会社等に建物・設備の保守修繕の実行を指示し、実施状況をチェックする。
また、理事会は、マンション管理士からの報告提案を受けて、管理者としての業務を適切に行っているかチェックする。
このような関係が望まれます。
国土交通省もこのような第三者管理者方式を選択肢の一つとして提案しています。
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