
戸数150戸弱、築年数20年のあるマンションでのことです。10年後の2回目の大規模修繕工事実施予定時期において、3億4千万円もの資金不足となる長期修繕計画が管理会社より理事会に提案されました。この資金不足を解消するには、今すぐ、修繕積立金を150円/㎡から290円/㎡と2倍も値上げしなければならないことになります。
理事会は大騒ぎですが、管理会社担当者は、「フルスペック仕様の長期修繕計画です。10年先の話なので、まだ時間はあります・・・」とわりと平然と話します。
理事会役員も「そんなものなのか」と一安心。
「自分が役員であるここ1,2年は資金不足は発生しないみたいだし・・・」
でも、それでいいんでしょうか?
10年後、一時金徴収でなんとかしようとすると230万円/戸の負担となります。
ほんとうに大幅に資金不足するなら、いまから、準備しないと間に合いません。
そのためには、適正妥当な長期修繕計画費用を算出する必要があります。
管理会社が作成した「長期修繕計画」だけでなく、セカンドオピニオンとなる第三者による「長期修繕計画」が必要です。
管理会社作成の長期修繕計画???

適正妥当な長期修繕計画を手にいれることは、適正妥当な修繕積立金を知るうえで、とっても大事なこと。
管理組合運営において、もっとも重要な建物設備の維持修繕や機能アップの原資となる修繕積立金額を予測することは、区分所有者にとって最大の関心事です。
管理会社作成の長期修繕計画は、どうししても多めの予算設定になる傾向があります。
なぜなら、管理会社としては、少なめの予算設定の計画で、もし不足した場合は、管理組合から責任を追求されるかもしれません。
また、工事受注を予定しているのであれば、当然、利益分を上乗せした工事予算としなければなりません。
そう言ったことで、管理会社作成の長期修繕計画は、あまり、あてになりません。
そこで、セカンドオピニオンとして、管理会社ではない第三者が作成した適正妥当な長期修繕計画が必要になります。
セカンドオピニオン先?

管理会社以外の第三者に長期修繕計画を作成してもらうとしたら、別途、作成費用が必要となります。
管理会社担当者は、「内容にもよりますが、建物診断も含めた作成費用は最低100万円は必要となりますよ。」と言います。
そうすると、理事会決議だけでは、できないので、総会決議が必要となります。
臨時総会の開催なども必要となってきます。
一部の区分所有者からは、長期修繕計画を作るだけで、100万円も費用をかけるのは勿体ないとの声もあがるかもしれません。
ですが、妥当適正な長期修繕計画を作成することで、億円単位の資金不足問題を解決できるとすれば、安いものです。丁寧に説明をして納得を得て下さい。
また、下記に述べるように、まずは、公的機関が提供してくれる無料又は安価な作成サービスをまず利用してみることから始めるのが良いと思います。
管理会社作成の長期修繕計画との違いが把握できます。
いくつかの長期修繕計画を作成し、比較検討することで、妥当適正な長期修繕計画を判断しやすくなります。
住宅金融支援機構による作成サービス(無料)

住宅金融支援機構による『マンション ライフ サイクル シミュレーション』という作成サービスを無料で行っています。
オンラインで幾つかの情報を入力するだけで、リアルタイムに長期修繕計画を作成してくれます。
これは、住宅金融支援機構に大規模工事工事費用の融資を受けた管理組合の工事事例がデータベース化してあります。
同様の規模・築年数等の情報を参考に、長期修繕計画を作成提供してくれるサービスです。
入力する情報として、下記のような情報で、理事会役員の方でも十分に入力可能な内容となっています。
無料ですし、何度もやり直しできますので、是非、試して見て下さい。
過去の実績データをベースに作成されますので、工事費相場を知ることができ、なかなか優れものだと思います。
【建物情報】
所在地/住戸数/築年/敷地面積/建築面積/専有面積合計/機械式駐車場台数/
エレベーター台数/外壁仕様(タイルなど)/廊下形式(片廊下方式など)/
貯水槽有無など
【工事情報】
直近の外壁塗装等改修工事実施予定時期(いわゆる大規模工事工事のこと)/
大規模工事工事の周期(12年毎/15年毎など)/
給水設備取替実施有無/排水設備取替実施有無/ガス設備取替有無/
エレベーター取替有無など
【資金情報】
年間修繕積立金徴収額/専用使用料(駐車場等からの年間繰入金/
前期末修繕積立基金総額(残高)/修繕積立基金未収額/借入情報など
マンション管理センターによる作成サービス

公益財団法人 マンション管理センターは、有料(21,000円)ですが、メールまたは郵送で情報提供すると、2週間程度で、国土交通省が推奨する長期修繕計画標準様式を用い、長期修繕計画作成ガイドラインに沿った内容のものをCD-ROMに記録したものを郵送してくれます。
EXCELファイルで提供されるので、工事実施時期や工事項目・予算などを変更していろいろとシミュレーションすることもできます。
マンション管理センターでは、このサービスを、専門家に作成を依頼する前に、現状の長期修繕計画の内容や修繕積立金の額をチェックし、適切な内容か、また、どのような見直しが必要かなど、比較検討の目安(セカンドオピニオン)として利用されることを想定しています。
ここで使用されている単価は、一般的な計画修繕工事の実施データをもとに設定した標準モデルの戸あたりの額をマンションの形状j、仕様等による係数で補正したものが採用されています。
提供する情報は、住宅金融支援機構の作成ツールよりも詳細ですが、専門家でなければできないものでなく、理事会役員の方でも十分対応可能な内容となっています。
21,000円程、費用はかかりますが、これも、是非作成してみて欲しいものです。
住宅金融支援機構のものと、マンション管理センターのものと、管理会社作成のものとを比較検討すれば、管理会社作成のものが妥当適正なものかどうか判断できるようになると思います。
設計事務所等による作成サービス

最終的には、建物診断行い、図面等から数量計算を行った上での、長期修繕計画作成が必要となってきます。
これには、大規模修繕工事を始めとして、マンションに関わった経験のある設計事務所に長期修繕計画を作成依頼することになります。
マンションという建物に詳しく信頼のおける建築の専門家(建築士など)を探すのは、容易であはありませんが、OPTAGE(関西電力グループ)によるまマッチングサービスが魅力的です。
OPTAGE認定の専門家の支援を受けながら、必要とする設計会社・施工会社を紹介してもらい、比較・選択できるサービスです。
紹介・比較・選択するまでのサービス利用は基本無料です。
理事会・総会の承認を得ながら、長期修繕計画作成を進めていきましょう。
長期修繕計画はセカンドオピニオンが必要です

管理会社作成の長期修繕計画を鵜呑みにしてはいけません。
長期修繕計画には、第三者によるセカンドオピニオンが必要です。
適正妥当な長期修繕計画を作成して、適正妥当な修繕積立金を知ることが、管理組合運営において、最重要な課題です。
そして、作成した長期修繕計画は、毎年見直しておくことをおすすめします。
つねに、最新の情報でメンテナンスしておくことで、いつも見通しの明るいマンション運営を心がけて下さい。
いちど、適正妥当な長期修繕計画を作成すれば、毎年の見直し費用はわずかです。
今、手元にある長期修繕計画の中身を確認してみて下さい。

長期修繕計画の中身を確認してみて下さい。
どんな書式で、どんな内容が、そこに書かれていますか?
過去の修繕履歴はきちんと反映されていますか?
資金不足は発生しませんか?
まずは、自分の目で見て、確かめて下さい
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