首都圏では2003~2009年まで、年間50棟以上のタワマンが竣工した。タワマンなど大型マンションは15~18年の周期で大規模修繕を行うのが一般的なので、首都圏では今年、多くのタワマンで行われることが予想されるそうです。
一方で、修繕積立金不足の問題が顕在化するタワマンが続出しそうだというお話です。
修繕積立金不足が次々と明らかに
神奈川県内のあるタワマンでは、大規模修繕工事見積が、長期修繕計画予定額の2割以上も高く、30万円~40万円の一時金の徴収が必要となり、延期するかどうかでもめているそうです。
都内の別のタワマンでは、22,000円だった修繕積立金が50,000円に値上げされ、年金生活の老夫婦には負担が重く、都営住宅への引越しを考えざるを得ないという。
ちなみに国交省の2018年度調査では、1688件のうち、34.8%のマンションが修繕積立金不足に陥っていることが明らかになっています。
横浜にある2018年竣工のタワマンでは、わずか3年で、修繕積立金が3.5倍に値上げされました。
都内にある築6年のタワマンの長期修繕計画では、12年後に予定されている大規模修繕工事では、1戸あたり220万円の追加負担が必要と記されているそうです。
大規模修繕工事の値上げ原因
2000年初頭にタワマン建設が本格化して以降、大規模修繕のコストは段階的に上がってきている。アベノミクスの公共投資への期待感に沸いた2013年の夏頃と、消費増税に伴う駆け込み需要が起きた翌年。 さらに2011年の震災後の復興特需や五輪特需で、現在と15年前を比較すると、大規模修繕にかかるコストは2割以上増えている。にもかかわらず、積立金の増額の話はなかなか進まないのが現状です。
足場費用の高騰
項目別で見ると、値上がりが特に顕著なのは足場だそうです。
足場は通常、建設会社がリース業者から借りてくるのですが、絶対数が決まっているので価格変動が著しく、5割以上も上がっています。
足場が高くつくタワマンの修繕費は、この15年で30~35%高騰してるそうです。
また、厚労省が定める、足場に関する安全基準が年々厳しくなっており、コストを押し上げる要因となっています。
直近では、2021年6月の改正で、これまでより高い手すりの設置が求められるようになった。結果、足場の設置自体により時間がかかるようになり、人件費が上昇しました。
加えて、現場作業を担っていた外国人労働者が、コロナで入国できなくなり、人件費はさらに高騰していることも影響しています。
コロナ禍の影響はほかにもあり、原油高騰やコンテナ不足で修繕に必要な塗料やタイル、パネルなどの価格も3割増しているそうです。
賛成派・反対派の対立
神奈川県内のタワマンに住む住民によると、不足する修繕積立金に関する議論が活発化した結果、住み心地が悪くなったという。
築8年目、修繕費の値上げに関して全戸対象の住民投票を行うことを決定。
改定案では1㎡単価が1.5倍の約300円になり、反対派と賛成派それぞれの組合理事が、票の取りまとめに動いている。住民同士の立ち話でも、それとなくどっち派なのか探ってくるような人がいたりと、見えない分断を生んでいる。
互いの主張を否定する怪文書や匿名のチラシが投函されてたりもしている。
理事長が緊急動議で解任
都内のあるタワマンの管理組合を長年務めていた理事長は、住民からの信頼も厚かったのに、管理会社の大規模修繕計画に否定的な態度を取っていたところ、緊急動議で解任されてしまった。
実はこれには裏があり、不信任案に票を投じた理事は、管理会社の息がかかっていた。管理会社や傘下の工事会社にとって大きなビジネス機会なので、ぜひとも進めたたかったのだと思います。
管理会社に丸投げは大変危険
マンション住人が自分の住むマンションに『無関心』で、『管理会社に丸投げ』は、大変危険です。
修繕計画の多くは、管理会社が『理想的』に描いたフルスペックの内容です。
すべてを必ずやらないといけないわけではありません。
メリハリをつけた計画にすることで、積立金の残高内に抑えることも可能です。
その為にも住民・理事会は、日頃から関心を持ち、管理会社に丸投げでなく、自分たちが中心となって管理組合を運営していく姿勢が大事です。
コメントをお書きください