マンション管理士が第三者管理者になる

そもそもマンション管理士とは?

マンション管理士試験に合格し、マンション管理士として登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識を持って、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とする専門家です。

 

 マンション管理士制度は、平成13年8月に施行されたマンション管理適正化法において、国家資格として位置づけられています。

マンション管理士の業務

マンションの管理を適正に行っていくには、

  1. 管理規約や使用細則等の建物等の管理又は使用に関する区分所有者相互間のルール策定及び見直し
  2. 長期修繕計画の策定及び見直し
  3. 区分所有者間のトラブルへの対処

等が必要になりますが、マンション管理士は、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等からの相談に応じて、管理規約、使用細則、長期修繕計画等の素案の作成、区分所有者間のトラブル解決に向けての予備的交渉等を行います。

 

これらの業務を行うことにより、マンション管理士が管理組合の運営を様々な形で支援することが期待されています。

その他、大規模修繕工事の計画・実施、居住者の義務違反、管理費の滞納等へのアドバイスにも当たります。

管理業務主任者との違い

マンション管理士は、専門的知識をもって、マンションの管理に関し、管理組合の代表者である管理者等又は管理組合の構成員である区分所有者等からの相談を受けて、助言、指導その他の援助を行うことを業務とする専門家です。

 つまり、マンション管理士は、管理組合の立場から、管理組合の運営等に関し、適切な助言等の支援を行うものです。

 

 

 これに対し、管理業務主任者は、マンション管理業者の事務所毎に置かれ、マンション管理業者に義務付けられた管理受託契約に係る重要事項の説明、管理業務の報告等の事務に当たるものであり、マンション管理業者が受託した管理業務の適確な実施を目的として設けられた資格者です。管理会社のフロントと呼ばれる営業担当者の多くは、この資格を持っています。

 

 したがって、両者の立場及び業務の内容は、性格を異にするものです。

利益相反取引関係のリスク

売り手と買い手の関係から見れば、管理会社でもマンション管理士でも同じではないのか?

 

答えとしては、同じではありません。

 

何故なら、管理会社とマンション管理士では、収益構造が全く違います。

管理会社の収益構造

日本ハウジングという管理戸数No1の管理会社の決算資料です。

管理戸数は47万戸です。

 

マンション管理棟数:9,925棟

ビル管理棟数:599棟

賃貸マンション管理棟数:1,210棟

授業員数:5,811人

 

 

2021年3月期の「セグメント別売上高・営業利益」という資料です。

 

注目すべきは、営繕工事業で475億85百万円(41.3%)の売上を計上しているとこです。管理会社の多くは、同じように、工事売上が大きな売上比率となっています。

工事売上がなければ、成り立たない収益構造となっています。

 

マンション管理事業売上には、管理業務委託費用をはじめ、管理員業務費、日常清掃員業務費、定期清楚業務費、各種法定点検業務費、保険の代理店手数料などが含まれています。

 

営繕工事売上には、大規模修繕工事をはじめ、建物・設備の修繕工事などは含まれます。

 

セグメント 売上高(百万円) 構成比(%)
マンション管理事業 52,682 45.8
営繕工事業 47,585 41.3
ビル管理事業 8,720 7.5
不動産管理事業 5,978 5.1
合計 114,967

マンション管理士の収益構造

これに対して、マンション管理士の収益構造では、コンサル業務の売上のみです。

管理員業務、清掃業務、保守点検業務、小規模修繕工事、大規模修繕工事などは、受注しません。そもそも免許がないので受注できません。

 

マンション管理士の「管理者業務」に対する評価ポイントは、次の2点です。

 

・いかに少ない費用で、マンションの資産価値を維持向上させることができたか。

・どれだけ、より良いコミュニティを形成できたか。

 

この2点が評価され、管理組合より継続的に取引いただけるかが、重要ポイントになります。