世帯数5400万世帯に対して住宅戸数6241万戸と841万戸も住宅が多いのに、毎年100万戸近い新築住宅が着工されています。
その内分譲マンションは2018年度は11万9千戸、2019年度は11万1千戸新規着工されています。
住宅は大量に余っているのに、何故今も大量に新規着工されるのでしょか?
新築市場優遇から中古市場活性化へ
新築市場優遇から中古市場活性化に舵を切り替える必要があるのではないでしょしょうか?
欧米諸国と同水準の中古住宅市場を開拓する。そうすれば、中古住宅の資産価値を引き上げる努力が刺激されます。中古マンション市場でも管理品質レベル向上の努力がなされる筈です。購入希望者は公正な管理品質情報を手に入れることができれば、安心して中古マンションを購入できるようになります。
それは中古マンション所有者の資産価値がアップするこにつながり、資産効果(内需経済誘発効果)が高まります。
分譲マンション建設の歴史
1968年に住宅戸数と世帯数が逆転したにもかかわらず、新築住宅建設が進められたの何故なのでしょうか?
分譲マンション建設の歴史を振り返ってみましょう。
まず、戦争により失われた多くの住宅を政府は大至急に国民に提供する必要がありました。1945年11月の試算によれば、450万戸の住宅が不足していました。
つまり当時としては「質」より「量」とにかく住宅戸数を増やすことが至上命題でした。1960年には池田内閣により「所得倍増計画」が掲げられます。1961年~1970年の実質成長率は10.9%となり目標を上回りました。
50年~60年代は仕事を求めて、地方から東京・大阪・名古屋の大都市圏へ急激な人口移動が生じました。この結果、都市部では住宅が全く足りずに、「造れば売れる」時代でした。
1966年には、「住宅建設計画法」が制定され公営・公団・公庫住宅の建設目標数が設定され建設が推し進められました。
このころには「住宅ローン」があらかじめセットされたマンションが登場し始めます。
ついに1968年には、住宅戸数と世帯数が逆転しました。
このころ、「ウサギ小屋」と海外などから揶揄されて広さをなど「量」から「質」を求められるようになりました。
その後、1985年のプラザ合意を経て、日本経済はバブル経済に入り、やがて1990年初めにはバブル崩壊します。
これより先は、住宅政策は「景気対策」に目的が変質します。
景気刺激策として、「ゆとりローン」「住宅ローン減税」「固定資産税減免」など新築住宅取得を後押しする各種施策が実行されます。
金利は低いものとなり、ローン契約の時の年収条件なども引き下げられ、
幅広く新築住宅購入を刺激する施策が繰り返し実行されました。
景気刺激に疑問
政府は新築受託建設は2倍以上の生産誘発効果がある。つまり3000万円の住宅を建設すれば、資材、設備等の購入で6000万円分の経済波及効果があると言われていますが、本当にそうなのか疑問のあるところです。
むしろ、新築を作ればその分空き家も生まれる訳で、未来への外部不経済効果を考えれば、むしろマイナスとなっているかもしれません。
短期的に建設業界を潤わしているだけかもしれません。
中古住宅市場活性化へ
少子高齢化・空き家増大の問題もあり、政府もようやく中古住宅市場活性化へ舵を切る時にきています。
マンションにおいても、2022年3月スタートの「管理計画認定制度」の運用開始など中古マンション取引が適切に行われるように環境整備を始めようとしています。
より良い高品質なマンション管理が、マンションの市場価値に反映される仕組みが普及すれば、現にそのマンションに住む区分所有者にとっても資産価値アップとなります。
はじめの一歩
長期修繕計画の内容確認から初めてみませんか?
コメントをお書きください