老朽化が進むマンションの修繕を金融支援する仕組みができるそうです。住宅金融支援機構はマンション所有者が自宅を担保に修繕積立金を借りられるローンを2020年度中に投入する予定だとと日本経済新聞が伝えています。
また、大規模修繕工事の費用を管理組合向けに民間金融機関と協調融資することも検討しており、今後一段と深刻な問題となる住宅資産の劣化を資金面から防ぐ仕組みを官民一体で築く取り組みが本格化しています。
進む、マンションの老朽化と住人の高齢化
国土交通省の推計によれば、2018年末時点でマンションは655万戸あります。その内、築40年超えの物件は約81万戸にのぼります。20年後には4.5倍の約367万戸に膨らむと予測されています。
住人の高齢化も進み、高齢者夫婦のみ、高齢単身者の世帯が激増してきます。その殆どは年金生活者となり、年金の平均額は現在でも月額22万円前後です。管理費・修繕積立金も2万円前後です。
築年数が経過すればするほど、必要となる大規模修繕工事の費用を増加する傾向にあり、修繕積立金のさらなる値上げや一時金の徴収が必要となります。
年金生活者にとってはこれ以上の負担増に耐えられず、結果、値上げも一時金の徴収もできないまま、大規模修繕工事そのものが延期や中止に追い込まれるマンションも増えてきます。
修繕積立金が計画より不足しているマンションは現時点でも35%にのぼっています。
リバースモゲージのマンション修繕版
機構は、毎月の修繕積立金を将来分もまとめて一括して貸し出してくれるそうです。
返済は生存中は利息の支払だけで済み負担が軽くなります。元金は死後自宅を機構が売却して返済する仕組みとなります。
現在はマンションには適用が厳しい、高齢者が自宅を担保に生活資金を借り、死後に物件を引き渡すリバースモゲージに似ています。
生活資金ではありませんが、修繕積立金を借入し死後一括返済する仕組みとなります。
どの程度の金額が借入可能なのか?修繕積立金として借り入れたお金はどこに納めるのか?
など現時点では不明な点も多いのですが、注目すべき制度だと思います。