マンションも築25年を超える頃より、「修繕積立金不足」「賃貸化」「空き家化」「理事会役員の成り手不足」などの管理運営上の問題が顕在化してきます。
また、最近のタワーマンション・大規模マンションのように大型化したマンションでは、マンション管理もより高度化・複雑化しています。
これらの課題に解決していくには、マンション管理士など外部専門家の活用が求められます。
第三者管理者方式とは
2016年(平成28年)国土交通省が推奨する標準管理規約に「外部専門家を役員として選任できる」という条文が追加されました。
これまでは、自治という観点を重視して、区分所有者(組合員)で構成される理事会が中心となって管理を行うことを前提としていました。
しかし、住人の無関心や高齢化、マンションの賃貸化、空き家化などによる理事会役員の成り手不足。マンションの大規模化に伴い、マンション管理そのものが高度化・複雑化するなどがあり、マンション管理士などの外部専門家が理事会役員等に就任して管理組合の運営を行っていこうと言うものです。
=======標準管理規約=======
第35条 管理組合には次の役員を置く。
2 理事及び監事は総会で選任する
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は理事のうちから、理事会で選任する
4 組合員以外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法については細則で定める
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第三者管理者方式の3つのパターン
国土交通省は第三者管理者方式として次の3つのパターンを想定しています。
パターン①:理事・監事外部専門家型 又は 理事長外部専門家型
パターン②:外部管理者理事会監督型
パターン③:外部管理者総会監督型
①理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型
外部の専門家は理事会のメンバーとなり、区分所有者である他の役員と共に管理組合の運営を行います。
②外部管理者理事会監督型
マンション管理士等の専門家が管理者となり、理事会は監事的立場とする方法です。
会社組織で言えば、管理者が執行役員で理事会が取締会のような感じです。
監視する立場の理事会にさらに別の外部専門家を選任することも考えられます。
「これからのマンション管理方式」として私たちが推奨する方式です。
③外部管理者総会監督型
マンション管理士等の専門家が管理者となり、総会が監事的立場とする方法です。この場合、理事会は廃止します。
または、区分所有者より監事を選任して監視したり、監査法人等の外部監査を義務づけたりすることも考えられます。
第三者管理者方式のメリット・デメリット
【メリット】
①管理組合役員の負担軽減
②管理業務の品質向上
外部専門家が組合運営に関わることで、管理組合役員の精神的・時間的負担が軽減されます。
専門家による課題把握の的確化、意思決定の迅速化、長期的視点に立った業務運営などが行われるようになり、管理業務の品質向上が図れます。
【デメリット】
①外部専門家採用に伴う費用増大
②外部専門家による不正発生の恐れ
外部専門家に支払う報酬が必要になります。但し、専門家採用により無駄な費用支出が削減されてトータルで見れば、コストが削減されることが期待できます。
外部専門家の関係業者などに修繕工事などが発注され、リベートを受けるなどの不正が発生するかもしれません。これらを防止する為には、理事会・総会などの監視が重要になります。
これからのマンション管理方式とは
私たちが提唱する「これからのマンション管理方式」は、
マンション管理士が管理組合の管理者となりリーダーシップを発揮して管理業務を推進していく。
理事会はマンション管理士の管理業務実施状況を監査する。
管理会社は建物・設備の保守維持のエキスパートとして活躍頂く。
具体的には
マンション管理士
〇長期的視点にたったビジョンを理事会に提示する
〇管理会社など取引先に対して業務実施の指示を行い、報告を受け実施状況をチェックする。
〇住人(組合員、賃借人)からの依頼・要望・苦情・クレームなどの受付窓口となりトラブル解決などにあたる。こうすることで、管理会社担当者の負担を軽減し、本来業務に専念頂く。
〇理事会に業務実施状況などを報告する。
〇同時に組合員の年金・介護・相続などの相談窓口ともなる。
管理会社
〇管理費等の徴収、各種経費の支払、各種会計資料の作成など会計業務を行う
〇建物・設備保全のエキスパート・コーディネーターとしての業務を行う
管理組合(理事会)
〇マンション管理士から報告や提案を受け管理者としての業務を適切に行っているかチェックする。
このようにマンション管理士が管理者となり、管理会社、管理組合(理事会)の3者が協力運営する仕組みが、これからのマンション管理方式です