2020マンション市場はどうなる?

いよいよ東京五輪本番の2020年。五輪後には景気後退を予測する向きもありますが、ほんとうにそうなるのでしょうか、また、マンション市場にはどのような影響があるのでしょうか。

 

2020年1年間は、2019年と大きく変わらないと見る向きもあるようですが、2020年以降の5年~10年の動きはどうなるのでしょうか?

2020年の首都圏発売は微増の32,000戸

不動産経済研究所にれば、3万1300戸前後(18年比15.7%減)となる2019年と比べると2.2%増の3万2000戸となる見通しで、微増ではあるものの2年ぶりの増加となり、消費増税の影響は限定的で、年明けから順次販売が始まる大型案件の人気次第では供給戸数が上乗せされる可能性もあるとのことです。

 

供給エリア別の内訳は、東京都区部1万4000戸(19年見込み比1.4%増)、都下3000戸(15.4%増)、神奈川県7500戸(7.1%増)、埼玉県4000戸(13.0%減)、千葉県3500戸(6.1%増)と、埼玉県以外のエリアが軒並み増加する見込みだそうです。

 

価格面では2019年1~11月の平均価格は18年比2.3%上昇の6006万円となり、郊外でも立地を厳選していることもあって6000万円台にアップした。20年も供給の主力は駅近物件という傾向は変わらず、価格が大きく変動することはなさそうだとのことです。

 

商品特性のテーマでは引き続き子育て支援などに関心が集まる。また、ハザードマップで浸水被害が想定されるような河川沿いの物件では、防災強化が急務となっているとのことです。

2020年の近畿圏発売は横ばいの17,000戸

2020年の年間発売戸数は2019年とほぼ横ばいの1万7000戸程度になる見通しだそうです。

 

2019年は前年比19.8%減の1万6800戸前後となる見込み。価格上昇と消費増税の影響により、当初予測の2万戸よりも下振れした。契約率は5月と11月には6割台に落ち込み、若干の減速はみられるものの、年間では10年連続で好調ラインの70%を上回る見込み。需要は引き続き堅調といえる1年であったとのことです。

 

2020年の供給については、一部の地域では引き続きホテル建設との競合がみられるものの、大阪市部の超高層物件は2019年からの発売後ろズレ物件がプラスされ、大量供給となる見通しとのことです。

 

価格面では、建築コスト、マンション用地の価格は上昇が継続しており、更に大阪・関西万博、IR構想によりマンション価格の先高感は一層強まると見込まれ、高くなりすぎると需要の落ち込みが懸念されます。

 

東京都13.03倍 大阪府9.07倍

2018年の新築分譲マンションの平均分譲価格は、全国平均で平均年収の8.09倍、東京都においてはなんと13.30倍であったとの調査結果が、東京カンテイより2019年12月4日に発表がありました。

 

それによりますと、

 全国の平均年収は448万円、平均分譲価格は3,623万円で平均年収の8.09倍。

 

※平均分譲価格は70㎡価格に換算しています。

  

東京都の場合、平均年収は578万円、平均分譲価格は7,686万円で平均年収の13.03倍だそうです。

 

首都圏の場合、平均年収515万円、平均分譲価格は、5,665万円で平均年収の11.01倍

 

大阪府の場合、平均年収488万円、平均分譲価格は、4,683万円で平均年収の9.07倍

 

近畿圏の場合、平均年収459万円、平均分譲価格は、4,288万円で平均年収の8.26倍だそうです。

  

いずれにしても、平均年収の10倍前後、東京都においては、13倍強と必要とのことで、稼ぎ手が一人のサラリーマン世帯では、無理で、フルタイムの共働きで二人ともそれなりの年収のあるいわゆる「パワーカップル」でも購入が困難な状況となっています。

 

新築市場から中古市場へ

新築分譲マンションの供給戸数の頭打ち、価格高騰の状況から中古分譲マンションが注目されています。

 

特に首都圏では、2016年に年間の新築マンション発売戸数を中古マンションの成約件数が初めて上回りました。その後2017年、2018年は拮抗していましたが、2019年は中古優位が明確になってきました。

 

築10年中古マンションの価格は平均年収の全国平均で5.47倍 東京都で10.49倍 大阪府で6.84倍となっています。

新築の80%弱の価格水準となっています。

 

供給戸数の頭打ち、価格高騰の状況、人口及び世帯数の減少から、住宅市場は、ますます新築市場から中古市場へとシフトが進むと思います。

 

人口・世帯数減少/高齢化/空き家増加

今後5年から10年のスパンで中古分譲マンションのストックも考えれば、供給過剰となるのは必至です。

 

2025年には、東京都においてさえも人口・世帯数減少が始まります。

 

 

総務省による2018年調査では、空き家戸数は848万9千戸で空き家率は13.6%と過去最高となっています。

2033年には、2150万戸(空き家率:30.2%)になるとの予測データもあります。(野村総合研究所)

 

空き家の問題は、決して地方の問題ではありません。首都圏・近畿圏など大都市の方が深刻です。

また、戸建ての問題でもなく、外からは分かりにくいですが、マンションの方が、圧倒的に空き家戸数は多く。

管理不全マンションとなり、影響は深刻です。

 

あなたの住む中古分譲マンション

あなたの住む中古分譲マンションを資産価値を下げずに、中古市場において、売買の対象となり続けるようにすることは、大変重要な問題です。

 

中古市場において、売買対象から除外されるような事態になれば、空き家問題が顕在化して、管理不全から不能となり、いずれは廃墟となってしまいます。

 

管理不全となる前に、あなたの住む分譲マンションの出口戦略を明確にして、20年後、30年後に備えることが必要です。