特別決議とすべきか?普通決議とすべきか?

管理費や修繕積立金の改定議案を総会で決議するときは、特別決議議案とすべきでしょうか?普通決議議案とすべきでしょうか?

 

区分所有法上では、普通決議議案で「OK」です。

 

但し、管理規約や管理規約に付属した別表などに記載されている場合は、管理規約の変更扱いとなりますので、特別決議議案としなければなりません。

そもそも「特別決議」「普通決議」とは?

総会に上程された議案を承認するには区分所有者による承認が必要です。この承認を得る行為を「決議」といい、管理組合における決議方法には「普通決議」と「特別決議」があります。

 

普通決議は「議決権の半数以上の出席で,出席者の過半数で決する。」と定められています。

 

例えば総戸数100戸のマンションの場合、総会には半数以上の出席、つまり50戸以上の出席が必要になります。

総会に60戸の区分所有者が総会に参加した場合、31戸以上の賛成で決議が承認されます。

 

※1住戸=1議決権の場合

 

なおこの出席には委任状、議決権行使も含むことができます。

 

 

特別決議は、より重要な案件を決議するためのものであり、決議が承認されるためには「区分所有者総数の4分の3以上」及び「議決権総数の4分の3以上」の賛成が必要になります。

 

例えば総戸数100戸のマンションの場合で区分所有者数、議決権数共に100の場合、承認されるには、区分所有者数75以上及び議決権数75以上の賛成が必要になります。

 

建替えの決議はさらに厳しく、5分の4以上の賛成が必要になります。

 

特別決議事項は以下です。

 

・管理規約の設定・変更・廃止(同法第31条)

・管理組合法人の成立(同法第47条)

・共用部分等の変更(同法第17条・第21条)

・大規模滅失における建物の復旧(同法第61条第5項)

・建物の建替え(同法第62条)

・専有部分の使用禁止の請求(同法第58条)

・区分所有権の競売の請求(同法第59条)

・占有者に対する引渡し請求(同法第60条)

 

上記以外は普通決議で決議できます。

 

ですから、管理費・修繕積立金の改定議案は、普通決議で決議できます。

 

但し、管理規約や管理規約に付属した別表などに金額等が記載されている場合は、管理規約の変更扱いとなりますので、特別決議議案としなければなりません。

 

 

「特別決議」が望ましい?

普通決議で決議するとすると、

 

例えば総戸数100戸のマンションの場合、総会には半数以上の出席、つまり50戸以上の出席で総会は成立します。

総会に50戸の区分所有者が総会に参加した場合、26戸以上の賛成で決議が承認されます。極端な例ですが、26戸の賛成で、管理費・修繕積立金の改定が行われることになります。

 

月々の費用負担の話となります。

各区分所有者の経済力は個々に異なります。なるべく多くの区分所有者の賛成が得られる内容にするべきです。

 

上記のことから「特別決議議案」とするのが望ましいです。

 

 

議決権総数の2/3以上 又は 議決件行使数の3/4以上

但し、一定数の方が棄権するのも事実です。棄権者の為に改定案が承認されないのも困りものです。

 

そこで、議決権総数の3/2以上 又は 議決権行使数の3/4以上とするのが、現実的な落としどころかと思います。