2017年6月16日に公布された「住宅宿泊事業法」の施行の日を定める政令と住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例の基準等を定める政令が、閣議決定されました。
これにより、「住宅宿泊事業法」は、2018年6月15日に施行されます。
管理組合はどうすればいいのか?
これにより、住宅宿泊事業(いわゆる民泊)の届出手続きは、遅くとも2018年3月15日からは開始される見通しです。
届出書に添付する書類としては、分譲マンションの場合、管理規約の写しが必要となるようです。
管理規約に民泊禁止が明文化されていれば、受理されませんが、そうでない場合は、受理される可能性があります。
ですから、各管理組合は住宅宿泊事業を許可するのか否かについて明確化しておくことが望まれます。
管理規約に「専ら住宅として使用する・・・」とあるが・・・
多くのマンションでは、標準管理規約を参考にして作られており、その12条において「区分所有者は、その専用部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」となっていると思いますが、この規定をもって民泊の可否を判断することは難しいために、トラブル防止のためにも、民泊を許容するか否かについてより具体的に明確化しておくことが望まれます。
具体的な条文内容?
●民泊(住宅宿泊事業)を禁止する場合
第12条 区分所有者は、その専用部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届けを行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。
●民泊(住宅宿泊事業)を許可する場合
第12条 区分所有者は、その専用部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届けを行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。
特区民泊も含めて禁止する場合
大阪府や東京都大田区で実施されているいわゆる特区民泊も含めて禁止する場合は、次のように条文を追加します。
第12条 区分所有者は、その専用部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届けを行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。
3 区分所有者は、その専有部分を国家戦略特別区域法13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用してはならない。
さらに、宿泊事業全般を禁止するは次の条文を追します。
4 区分所有者は、その専有部分を宿泊料を受けて人を宿泊させる事業を行う用途に供してはならない。
宿泊事業の実施そのものだけでなく、その前段階の広告掲載も禁止する旨を明確に規定するために、次の条文を追加することも考えられます。
5 区分所有者は、前項に違反する用途で使用することを内容とする広告の掲載その他
の募集又は勧誘を行ってはならない。
管理規約改正が間に合わない
管理規約改正の手続きが間に合わない場合は、少なくとも総会あるいは理事会において、民泊を許容するか否かの方針を決議し、議事録などに残しておくことが必要です。
遅くとも2018年3月15日からは、民泊の届出が開始されますので、それまでに、管理組合として、民泊を許容するか否かの方針を決議すべく、速やかに検討を始めることが重要です。