厚生労働省より民泊実態調査の結果が、2017/3/1に発表されました。
民泊の現状を把握する目的で、airbnbなど民泊サイトに登録されている全国1万5千件余りについて、旅館業法の許可状況などを調べました。
同法に基づく許可を得ている物件は、2500件余りで、全体の16%にとどまっています。
同法に基づく許可を得ていない物件は4,600件余りで、全体の31%を占め、このうち共同住宅は、2,500件余りで、半数以上を占めています。
サイト上に正式な住所等の記載がないために、施設の特定ができない。または調査中とされた物件が全体の53%を占めており、調査自体が困難な状況であり、こうした物件は無許可営業である可能性が極めて高いと思われます。
地域別の許可取得状況をみると、東京都区部など「大都市圏中心市」では、許可営業が極端に少なく、ほとんどが無許可等である状況(98.1%)が伺える調査結果となりました。
大都市圏中心市 | 左記以外の地域 | |
許可 | 150件(1.8%) | 2355件(34.0%) |
無許可 | 2692件(32.8%) | 1932件(27.9%) |
物件特定不可 | 5358件(65.3%) | 2640件(38.1%) |
訪日客の19%が民泊を利用
一方、大阪観光局は2017年3月28日、2016年度に関西国際空港で行われた外国人動向調査結果を発表した。
その結果、訪日客の19%が民泊を宿泊施設として利用していたことがわかった。
本調査は大阪を訪れる訪日客の訪問先、消費動向等を調査することで、今後のインバウンド誘致戦略に活かすことを目的として行われたもの。
民泊での国籍別利用者数では、中国、韓国、台湾が多いことがわかった。
民泊に関しては公式の統計調査がなく、民泊の利用動向がわかる珍しいアンケート調査と言えそうだ。
民泊のデータ解析を手掛けるメトロエンジン株式会社のメトロデータによると
大阪府にある民泊物件数(2017年2月現在)は9,587件とすでに1万件近い物件がAirbnbに掲載されている。
Airbnbの公式発表では2016年に370万人がAirbnbを利用して日本を訪れており国別利用者数では、韓国、中国、アメリカがトップ3でありアジア地域の訪日客が非常に多い。
Airbnbのゲスト利用は非常に増えている一方で、物件の供給側では課題が多い。
現状では民泊営業を行う場合には旅館業法の許可を取得するか、特区民泊の認定を取得する必要があるが、その殆ど無許可営業である実態があります。またその多くが共同住宅と思われます。
横行する闇民泊(大阪)
2017年6月9日には、いわゆる「民泊新法」が成立しました。
但し、年間180日の営業日数の上限があり、この上限は周辺環境へ配慮する必要があれば自治体が条例でさらに引き下げることができます。
また、民泊新法では、民泊営業をする家主や民泊管理代行会社、民泊仲介業者に対して都道府県や国への届出が必要となり、宿泊者名簿の作成や苦情の対応も義務付けられます。
既に広まっている「闇民泊」がなくなるのでしょうか?
朝日新聞に次のような記事がありました・・・
■ミナミで1泊7千円
民泊仲介大手の「AirBnB」で大阪市内の繁華街ミナミで1泊7千円の部屋を予約。
予約すると、所在地と4桁の暗証番号がメールで送られてきた。
予約するまで細かい住所はわからない仕組みだ。
現地は、繁華街に近い10階建てのオートロックのマンション。
玄関脇のフェンスには部屋番号が書かれた南京錠のようなキーボックスが20個ほどぶら下がっていた。
暗証番号をそろえてキーボックスを開けると、泊まる部屋の鍵が1本あった。
マンション自体は40部屋以上あった。
大半が「闇民泊」とみられ、外国人客が頻繁に出入りしていた。
■ゴミ、たばこの吸い殻・・・
一方、2年前からこのマンションに賃貸で住む50代の女性は、隣室が民泊だという。1年前から外国人客が出入りし、ルールを守らないゴミの投棄も目立つようになり、ベランダ越しにたばこの吸い殻も投げられたこともあると言う。
苦情を言おうにも、この部屋のオーナーは海外にいるため、連絡も取りにくいとのこと。
■大阪市は300居室のみ特区認定
「AirBnB」に登録された施設は全国で5万2千件あり、大阪府内だけでも1万3千件。
大阪市は昨年10月、国家戦略特区制度で民泊を解禁し、これまで110施設・300居室を民泊認定している。
「AirBnB」に登録されている施設の大半はこの認定外で、旅館業法の許可もとっていない。もちろん民泊新法の登録もされていません。
果たして既に営業している、これら1万3千件弱もある闇民泊が民泊新法の登録をするのでしょうか・・・