企業年金はもともと、「退職金」を分割して受け取るところから始まりました。
「賃金の後払い」という意味での退職金は、お金を払う時期を遅くするだけで、退職時にはたくさんの資金が必要です。そのため、企業の中に、退職金を分割して支払う「退職“年金”」という考え方が出てきました。
この図にあるように、企業年金は国が管理・運営をする公的な年金にプラスして受けることができる年金です。老後の生活保障のための年金制度には、国の公的年金に加えて、企業が任意で入る企業年金があり、その他、個人が任意で入る保険会社などの民間の個人年金もあります。
企業年金には現在、次のような種類があります。
◎確定給付企業年金(規約型/基金型)
◎確定拠出年金
◎厚生年金基金
◎中小企業退職金共済制度・特定退職金共済制度
企業年金というと老後の生活費を補てんしてくれるものというイメージを持つ方も多いと思います。しかし、実際に老後に年金が受け取れるのは、企業年金のある企業に就職して定年まで勤めた場合が中心で、途中で退職や転職する場合には、退職時に一時金を受け取ることができたとしても、老後は年金を受け取ることができない場合もあります。また、そもそも企業年金のない会社もあります。人事院の調査を見てみると、退職金制度がある会社は全体の約93%です。その中でも企業年金がある会社は約52%程度となっています。ただし、企業規模によってかなりの差があり、従業員1,000人以上の大企業の場合はおよそ9割の会社に企業年金があるのに対し、100人未満の企業では3割程度となっています。
企業年金の受け取り方には、「年金」と「一時金」の2つがあります。しかし、それぞれの企業年金や会社のルールによって、年金や一時金がどのような場合に受け取れるかが決まってきます。自分はどのような受け取り方ができるか確認しておきましょう。