かつては、子どもや家族が行うものとされていた親の介護ですが、高齢化が進む につれ、介護を必要とする高齢者の増加や核家族化の進行、介護による離職が社 会問題となりました。こうした中、家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支え ることを目的に、2000 年に創設されたものが介護保険制度です。
介護保険制度は市町村(東京23区は区)が保険者となって運営する社会保険制度です。現金による給付でなく、介護サービスそのものが提供される、現物給付が原則です。
40歳以上の人が介護保険に加入し、被保険者となります。
被保険者は年齢によって次のように2区分に別れ、保険料の決め方や納付方法、制度を利用できる条件が異なります。
【第1号被保険者(65歳以上)】
要介護状態になった原因を問わずサービスを利用できます。
【第2号被保険者(40~64歳)】
要介護状態になった原因が初老期における認知症など、16種類の特定疾病に限り、サービスを利用できます。
事故などのケガによって介護が必要になっても介護保険は利用できません。
このような場合は、年金制度における障害年金や労災保険による障害給付を受けることができます。
※特定疾病(16種類)とは?
①がん(自宅などで療養中のがん末期)
②関節リウマチ
③筋萎縮性即索硬化症(ALS)
④後縦靭帯骨化症
⑤骨折を伴う骨粗鬆症
⑥初老期における認知症(アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症)
⑦進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
⑧脊髄小脳変性症
⑨脊柱管狭窄症
⑩早老症(ウェルナー症候群)
⑪多系統萎縮症(シャイ・ドレがー症候群等)
⑫糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
⑬脳血管疾患
⑭閉塞性動脈硬化症
⑮慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎等)
⑯両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
被保険者は、原則、保険料を負担します。
保険料は、介護保険の給付費の半分をまかなう大切な財源です。
給付費の残り半分は公費(国、都道府県、市町村)によりまかなわれています。
1ヶ月当たりの保険料は、市町村が3年に1回、条例で定める基準額に、所得の段階別の割合に乗じた額になります。
厚生労働省作成の標準版では9段階となっていますが各市町村により異なります。
2018年の基準額の全国平均は5,869円ですが、市町村によって3,000円~9,800円とかなり大きな差があります。
保険料の納め方は、公的年金が年間18万円以上の人からは年金から天引きされ(特別徴収)、それ以外の人は市町村からの納入通知書や口座振替により、納付します(普通徴収)
会社員や公務員の保険料は、月給と賞与に医療保険者ごとに定める保険料率をかけた額です。
保険料率は健康保険組合では平均1.573%、協会けんぽでは、1.79%で原則勤務先と折半で負担し、月給や賞与から天引きされます。
この保険料は介護納付金として国に納付されます。
40歳以上の健康保険の被扶養者(会社員・公務員の妻など)の保険料は、原則、別途納付する必要はありません。
国民健康保険の加入者(自営業者など)の場合は、本人の所得等に応じて市町村が定め、国民健康保険料(税)に上乗せして徴収されます。