消防設備(2)

消防設備の仕組み等について、主だったものを見ていきましょう。

消火器

火災は、次の4種類に大別されます。
●A火災(普通火災):
 木材、紙、布等の可燃物による火災・・・共用部一般、住戸内
●B火災(油火災):
 ガソリンや動植物油による火災・・・屋内駐車場、ボイラー室
●C火災(電気火災):
 感電のおそれのある電気機器の火災・・・変電室
●D火災(金属火災):
 マグネシウム、ナトリウム等の火災・・・一般にはマンションでは該当箇所無し
マンションに置かれているのは、ABC3種類の火災に対応しています。

■「住宅用」と「業務用」

 

そして、消化器は、「住宅用」「業務用」に分かれます。「住宅用」は、キッチンなど住宅内に設置して、コンパクトで女性や老人でも操作しやすいものです。

 

■耐用年数と価格

 

共用廊下等に設置する消化器は「業務用」です。耐用年数は8~10年、住宅用(家庭用)消火器と違い、業務用消火器は薬剤の詰め替えが可能です。価格は、15000円前後です。

 

屋内消火栓設備

屋内消火栓設備は、火災の初期消火を目的としたもので、人が操作して使用する設備です。

■1号消火栓と2号消火栓

 

屋内消火栓の種類には、1号消火栓、易操作性1号消火栓、および2号消火栓があります。

 

1号消火栓は、従来から使用されている消火栓でありますが、ホースを全部引き出さないと放水することができないため、操作のため通常2名以上の者を必要とし、訓練を必要とします。

 

易操作性1号消火栓は、1号消火栓の操作性などを向上させたもので、1人でも操作できる構造となっています。

 

2号消火栓は、1人でも操作できる構造であるとともに、放水量を1号消火栓より少なくし、より扱いやすくしたものです。2号消火栓は、特に旅館、ホテル、病院などの容易な消火栓操作が求められる場所に設置されています。

 

屋内消火栓は、水源、加圧送水装置、屋内消火栓、補助水槽及び配管から構成されます。加圧送水装置(ポンプ)は消化専用のポンプユニットで、ポンプ、呼び水装置、性能試験装置、付属弁類及び制御盤から構成されます。

 

■耐用年数と価格

 

●消火栓水槽の耐用年数は30年程で、価格は130万円程度。

●消火栓ポンプユニットは20年程度で、価格は300万円程度。

●消火栓箱は外部設置の場合20年程、内部設置の場合40年程度です。 また、価格は、20万円~35万円程度です。


屋外消火栓設備

屋外消火栓は建築物の外部に設置される消火栓設備で大型の建築物や商業施設等に設置される消火設備のことです。

 

この屋外消火栓は火災発生時に在住者が外部からの初期消火活動に使用するケースもあるが、実際に屋外消火栓設備を使用する大半のケースは消防隊員が消防活動を行う際に利用するケースが大半です。

 

 


主に消防隊員が使用する屋外消火栓設備の放水能力は毎分350リットル以上の放水量、そして0.25MPa以上の放水圧力を保持することが条件となっています。

 

対して屋内消火栓設備は消火能力の高い1号消火栓であっても毎分130リットル以上の放水量、そして0.17MPa~0.7MPaの放水圧力となっておることからも屋外消火栓設備が高い消火能力を持つ消火設備であることがわかります。

スプリンクラー設備

スプリンクラー設備は、火災を早期に感知し、かつ、自動的に消火する設備です。

スプリンクラー設備は、使用するヘッドの種類や、配管内の充水等の有無によって、次のように分類されます。

閉鎖型スプリンクラーヘッドは、平常時は水の出口が閉鎖されており、一定の温度に達すると感熱部が作動することによって出口が開放する構造をもったヘッドです。感熱部には、熱により溶融する「ヒュージブルリンク」を用いたものと、ガラスの中にアルコール系の液体を封入した「グラスバルブ」を用いたものがあります。グラスバルブは、熱によって中の液体が急膨張することによりガラスが破裂する仕組みになっています。


高天井になると、天井面での熱の集積が遅くなり、ヘッドの作動が遅れる懸念があります。そのため、閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備を設けることができるのは、天井高さが10m以下(物販用途等は6m以下)の部分とされています。


開放型スプリンクラーヘッドは、感熱部がなく出口が常に開放された構造をもったヘッドです。

■湿式閉鎖型スプリンクラー設備

 

マンションでは、通常、湿式閉鎖型が用いられます。湿式スプリンクラー設備は広く一般的に用いられているスプリンクラー設備で、天井高さが10m以下(物販用途等は6m以下)の部分に設けることができます。

 

この設備では、貯水・給水源から末端のスプリンクラーヘッドまでの配管内は常に充水・加圧されています。火災時の熱によりスプリンクラーヘッドが作動すると、直ちにヘッドから放水されます。ヘッドからの放水に伴って湿式流水検知装置が開くと表示・警報装置が作動します。スプリンクラーヘッドは、ペンダント型(下向き型)やアップライト型(上向き型)などが用いられます。

 

■耐用年数と価格

 

スプリンクラーヘッド及び流水検知装置の耐用年数は20年程度、価格は、閉鎖型スプリンクラーヘッドが4,5千円程度です。


駐車場消火設備

屋内及び屋上駐車場の消火設備として、泡消火設備不活性化ガス消火設備ハロゲン化消火設備及び粉末消火設備があります。

泡消火設備

泡消火設備は、泡ヘッド、泡ノズルなどから空気泡を放射し、燃焼表面を泡で被覆することによる窒息作用と、泡に含まれる水分による冷却作用により火災を消火する設備です。

 

泡消火設備は、可燃性液体類などの消火に有効であり、ビルでは駐車場などに多く設置されています。


不活性ガス消火設備

不活性ガス消火設備は、噴射ヘッドまたはノズルから二酸化炭素や窒素などの反応性の低い不活性ガスを放射し、主に、空気の供給を遮断あるいは酸素濃度低下による窒息作用により消火する設備です。


ハロゲン化消火設備

ハロゲン化物消火設備は、噴射ヘッドまたはノズルからハロゲン化物消火剤を放射し、消火剤に含まれるフッ素、塩素、臭素などのハロゲン元素が有する燃焼反応の抑制作用により消火する設備です。


粉末消火設備

粉末消火設備は、噴射ヘッドおよびノズルから粉末を放射し、主に、粉末消火剤の燃焼反応に対する抑制作用により消火する設備である。なお、粉末消火剤は、その成分により種別があり適応火災などによって使い分けられています。