マンションの給水方式には、大きく分けて「直結給水方式」と「貯水槽給水方式」の2種類があります。
使用用途、給水高さ、所要水量、維持管理等に応じていずれかの方式が選択されます。
最近のマンションでは、直結給水方式が多く採用されるようになっています。
●直結給水方式とは、水道本管から給水管を直接分岐してマンション内に引き込み、各住戸に直接給水する方式で受水槽を必要としません。
通常3階程度までで採用され、戸建住宅に多くみられます。
設備費や維持管理費が安く、停電による断水の心配はありません。
●特例直圧給水方式とは現状の配水管の水圧で、建物の4階以上へ直接給水できる場合に、増圧給水設備の設置を留保し、特例として直圧で給水する方式。
●増圧直結給水方式とは、給水管に増圧ポンプを設置し、水圧の不足分を増圧して、中高層階まで直結給水する方式です。
この方式は中規模程度のマンションまでが対象となります。
増圧直結給水方式で直列多段型とは、増圧ポンプを直列に設置し、給水する方式。
標準型の増圧直結給水方式より高層階への直結給水が可能になります。
増圧直結給水方式で並列型とは、増圧ポンプを並列に設置し、給水する方式。
より大規模な集合住宅等への増圧直結給水が可能になります。
尚、増圧直結給水方式では、法定点検として年1回の増圧ポンプの点検が義務化されています。
貯水槽方式とは、水道本管から分岐して引き込んだ水を一度受水槽に貯水した後、揚水ポンプで屋上などに設置された高架(高置)水槽に貯水し、重力により各住戸に給水する方式です。
この方式は古いマンションで最も多く採用されてきました
断水時でも受水槽と高架水槽の残留水が使用できますので、短時間であれば断水の影響をうけません。
※受水槽の容量は、マンション全体の1日使用量の1/2程度
※高架(高置)水槽の容量は、マンション全体の1日使用量の1/10程度
増圧直結高架水槽方式は、受水槽がないタイプで、揚水ポンプで高架(高置)水槽に直接貯水します。
圧力タンク給水方式は受水槽に溜められた水を圧力ポンプによって各戸に給水する方式です。
高架(高置)水槽が不要で、主に小規模マンションに使用されます。
直結給水方式 | 貯水槽給水方式 |
蛇口まで直接水道水が届くので衛生的 |
貯水槽で一旦、水をうけるので、その分衛生面で注意が必要 |
貯水槽の点検・清掃が不要 |
貯水槽の点検・清掃が必要 |
貯水槽のスペースが不要となるので敷地を有効活用できる |
貯水槽のスペースが必要 |
水道管の圧力を利用するため、エネルギー効率が良い |
貯水槽で一旦、水を受けるので、水道管の圧力を利用できずエネルギー効率が悪い |
事故や災害時等に貯留機能がないため、断水することがある |
事故や災害時に貯水槽内の残っている水を使用できる |
受水槽、高架水槽は、水道法により、年1回の定期清掃と水質検査が義務付けられています。
また、最近の水道本管の給水圧力は高く、マンション高層階にも給水可能なため、直結給水方式が採用されるケースが多いです。