マンションの駐車場設備には、「平置き式」「立体自走式」「立体機械式」などいろいろなタイプがあります。
しかし、どのようなタイプであっても区分所有者全員の共有財産であることに変わりはなく、車を所有しない世帯でも、修繕積立金という形で設備の維持費を負担することになります。
郊外立地などで敷地の広いマンションであれば、平置き(平面式)の駐車場も多いでしょう。
たいていは屋根がないものの、使い勝手が良く、高さのある車でも容易に置くことができます。
メンテナンス費用が他の方式に比べて安く済むことが大きなメリットです。
しかし、台数の確保が難しいため他の方式と組み合わせられることが多く、屋外の平置き駐車場だけというマンションは意外と少ないかもしれません。
より多くの駐車台数を確保するため、立体駐車場を備えたマンションもあります。
鋼材を組んだだけで屋根のないものから、壁や天井がある本格的なものまでタイプはさまざまです。
機械式の駐車場よりも、置くことのできる車種に柔軟性が生まれます。
ただし、自分の駐車スペースが1階ならさほど問題はないでしょうが、上のフロアだと車を利用するたびに階段を上り下りしなければならない場合もあります。
3層以上の自走式立体駐車場だと、建物内を何度も回ることになり、運転に慣れていないとなかなか大変です。
ある程度の規模のマンションでは、地下が自走式または2段の機械式駐車場になっている場合もあるでしょう。
出入りの際の動線は若干長くなるものの、使い勝手は良く、駐車場からそのままエレベーターで部屋のある階へ行くこともできるほか、敷地内における歩車分離の動線も作りやすくなります。
ただし、建設コストはそれなりに高くなるため、新築分譲時の価格にどう反映されているのか注意も必要です。
最近のマンションであれば、機械式の駐車設備が設置してあることも多いでしょう。パレットが上昇して地上に2~3段の駐車スペースを取るものと、地下に格納されるものとがあります。
屋外の敷地に数多くの機械式駐車場が据え付けられているマンションも多く見られます。両面道路などの配置で、エントランスとは反対側の敷地の裏手にあれば良いのですが、「マンションの顔」とも言うべきエントランス前を、武骨な機械式駐車場が塞いでいるような場合もあるでしょう。
機械式の駐車場は、自家発電装置などがない限り、停電時には動かないことにも注意しなければなりません。
機械式駐車場では、当初の建設コストだけでなく日常の維持管理コストや定期的な点検コスト、故障や経年による設備取り換えコストなど、メンテナンスにかかる費用が大きくなりがちです。
構造などによってもだいぶ違いは生じるでしょうが、50~60台程度を収容する機械式駐車場で、20年間にかかるコストが約2億円に達するとの試算もあるようです。
また、立体式駐車場などではそれ自体に固定資産税がかかることもあります。
多くの自治体では、「建築基準条例」や「駐車施設設置要綱」などによって、マンションにおける最低限の駐車台数を定めていますが、車離れが進む現代では過剰となっている例も少なくありません。とくに駅から近いエリアに立地するマンションでは、空きが目立つことも多いようです。
駐車場契約者から集める駐車料金だけで維持管理コストや固定資産税などを負担できれば良いのですが、そうでなければマンション管理組合の財務状況を圧迫することもあります。
機械式駐車場は、既に述べたように多額の保守費用及び更新(取替)の費用が、かかりますが、都市部のマンションにおいて、駐車台数を確保するために、数多く導入されています。
機械式駐車場装置自体には、エレベーターと違い建築基準法は適用されません。
従って、法定点検はありませんが、事故防止の為にも、適切な保守(定期点検)は必要です。
尚、機械式駐車場の建屋部分(本体鉄骨、屋根、壁など)は、建築物として建築基準法が適用されます。
また、10台以上の機械式駐車場には、消防法が適用され、消防用設備の設置が必要となります。
(公社)立体駐車場工業会によると、下記8種類に分類されます。
①垂直循環方式
②多層循環方式
③水平循環方式
④エレベーター方式
⑤エレベータースライド方式
⑥平面往復方式
⑦2段方式・多段方式
⑧自動車用エレベーター
上記の内、マンションにおいては、⑦2段方式・多段方式が最も導入実績が多いようです。
超高層マンションでは、タワー型の立体駐車場が造られていることも少なくありません。
タワーの多くは敷地の北側やマンションの外廊下に面した側に建てられますが、接道条件などによっては日照をかなり阻害している場合もあります。