築20年、戸数100戸のマンションの新任役員の理事会でのことです。
管理会社:「修繕積立金を値上げしないと、このままでは、銀行借入するか、一時金を負担頂かないと、次の大規模修繕工事が出来なくなります。」
新理事長:「どれ位、不足しそうなの?」
管理会社:「そうですね、5,000万円~8,000万円程度でしょうか?」
新理事長:「値上するとしたら、どれ位?」
管理会社:「現在150円/㎡ですが、270円/㎡~300円/㎡くらいですかね」
新理事長:「え、そんなに!。2倍なんて無理だよ」
1回目の大規模修繕工事は、なんとかなっても、2回目以降の大規模修繕工事の積立金が足りない赤字マンションは多いのです。中には1回目から足りずに金融機関から借り入れする場合もあります。
12年~15年毎に行われる鉄筋コンクリート並びに屋上・外壁などの劣化を修繕する主に建物躯体に対する工事のことです。
最近18年周期で行う方式も研究されています。街なかを見れば、オフィスビルや商業ビルで12年〜15年周期でこのような工事は行われていません。もっと長い周期で行う、極端な話、予防修繕でなく事後修繕でもよい劣化修繕項目の場合もあります。
長期修繕計画の内容に基づいて決定されるべきものです。
25年~30年の期間におけるマンションの建物並び設備の修繕計画のことです。
マンション管理センターでは、マンション管理組合の皆様が現在の長期修繕計画や修繕積立金の額を見直しする際やその内容が適切かチェックする際に、比較検討の目安(セカンドオピニオン)としてご利用いただけるよう概略の「長期修繕計画」の作成とこれに基づく「修繕積立金の額」を算出するサービスを行っています。
マンションを適正に管理するためには、適切なタイミングで修繕工事を実施する必要がありますが、実態としては「既に積み立てられている修繕積立金額を前提として工事内容が決定する」、「修繕積立金不足により工事が先延ばしされる」など、合理的な選択が行われていないケースが散見されます。
また、管理組合の皆様は、大規模修繕工事の実施にあたり「施工業者から受け取った見積書の工事費が妥当かどうかわからない」「今後、修繕積立金をどのくらい増額すればいいのか」といった疑問や課題を抱えているともいわれています。
このような疑問や課題を解決する一助としてマンションライフサイクルシミュレーションがあります。
例えば、雨掛かり部分の鉄部塗装は4年周期、非雨掛かり部分の鉄部塗装は6年周期と言われています。
建物の修繕周期はあくまで目安です。初期の施工品質や、立地条件、使用状況に応じて建物劣化の状況は大きく異なります。
無駄な修繕工事をしない為にも、建物診断は重要です。
準備から工事完了まで、最低でも2年はかかります。
しっかりした事前準備と手順を確実に進めて行くことが必要です。
例えば、「責任施工方式」ではなく、「設計監理方式」を採用することで、削減できます。
とにかく、管理会社等に丸投せずに、管理組合が積極的に関わることが必要です。
「責任施工方式」とは工事業者に建物の調査。診断から設計、工事の実施まで全て任せる方式のことです。
「設計監理方式」とは設計及び工事監理と工事実施を別々の業者に分離して任せる方式のことです。
管理会社任せにするのではなく、業界誌・紙などで広く公募すること。そして、規模やブランドでなく、実績重視で選ぶことです。
住民の協力、積極的な関わりで、管理組合活動改善の起爆剤とすること。
住宅金融支援機構による共用部分リフォーム融資(2013年~2018年の1,550件)についての分析結果が発表されました。融資実行の築年数別では、築10年~14年のが最多の305件(19.6%)となりました。第1回目の大規模修繕工事の時点で修繕積立金の不足があり融資を受けたものと思われます。その他マンション規模別では・・・
これも住宅金融支援機構による共用部分リフォーム融資(2013年~2018年の1,550件)についての費用についての分析結果です。戸当たり単価は、100万円~150万円だったそうです。築年数が上がるほど単価が上昇する傾向も確認されました。屋根防水工事など工事種別毎の単価も発表されています。
管理会社(発注者)と工事会社を守る国土交通大臣認可の「検査付き保険制度」です。2021年3月には、保険の申込件数が2021年2月末時点で累計6,113棟に達したそうです。2010年8月販売開始依頼、申込実績は上昇し続けているようです。
大規模修繕工事だけでなく、外壁改修工事、屋上防止工事、給排水管更新工事など不定期に行う共用部分の工事も保険対象となります。