排水管老朽化の原因として考えられるのが、毎日の食事から生まれる生活排水、浴室や洗面所から流れる石鹸や洗剤・髪の毛などです。
これらは排水管内でヘドロ状のスラリーや硬化したスラッジへと変化し、次第に厚みを増して流れを悪くさせ、ゴボゴボと言った音や悪臭の原因になります。
※スラリーとは、粘土を含む濁水のような懸濁液を一般にスラリーまたは泥漿と呼ぶ。
※スラッジとは、槽底に沈んで堆積する濃厚なスラリーをとくにスラッジあるいは汚泥と呼ぶ。
そしてついには、流れきらなかった水が逆流する「溢れ事故」となって、多くの家庭に迷惑をかけることになるのです。
また、このような老廃物を長期間そのままにしておくと、酸化・腐食・鉄バクテリアの増殖によって管の腐食が進み、穴が開き、「漏水事故」を起こすことになってしまいます。
1年に1度の排水管清掃を行い、この汚れを取り除く事が必要です。
清掃方法は、高圧洗浄方式、スネークワイヤー、エアーハンマーなどありますが、高圧洗浄方式が一般的です。
【 雑排水立本管 】 台所・洗濯機・洗面台・風呂場などの排水が流れます。
【 汚水立本管 】 トイレの排水が流れます。
【 通気管 】 空気の流れを良好にし排水をスムーズに流します。
【 建物横引本管 】 雑排水立本管・汚水立本管の排水が流れます。
【 外部枡 】 点検口です。
雑排水立本管に流れ込む排水は、油分を多く含む事もあり、管に汚れが付着しやすくなります。
また、横管には上部に、立管には全体に、そして、トラップ(管の曲がったところ)が設置されている部分に汚れが付着していきます。
排水管に汚れが溜まりますと、水が流れるとゴボゴボと音をたてたり、臭気の発生、ひどい場合は水が流れなくなります。
排水管には耐用年数がありますが、排水管清掃を行わない場合、汚れが管の老朽化を促進し、本来持つ寿命を縮めてしまいます。
排水管清掃は、大切なご資産の価値を維持する為にも、とても重要なのです。
雑排水管清掃は、専有部分への入室が必要となりますので、居住者の在宅協力が必要となります。
ところが、協力が得られず、毎年、清掃できないお部屋がありますが、これは、専有部分内の配管の問題だけでなく、共用部分の雑排水立本管にも影響を与えますので、その事も理解頂き、在宅協力を頂く必要があります。
一方汚水間は、通常、洗浄しません。
図のように通常汚水管は雑排水立本管より管径が大きく、また油分が少ない排水である為、汚れが付きにくいからです。
また、通常トイレのトラップにより、高圧洗浄ホースが通りません。
トイレの清掃を行う業者がありますが、このような場合は、まず、その業者より説明をお受けすることをお勧めします。
図のように上から清掃すると、清掃業者にとりましては、とても効率よく作業が行えます。しかしこの方法では、漏水事故という致命的な事故につながりかねません。下の階の雑排水管に、スラリー/スラッジが詰まり、あふれでる形で漏水事故が発生する危険性があります。
ですから、非効率であっても、排水管清掃は下から行うのがベターです。下から清掃すると、事故が発生しにくくなります。