エレベーター定期検査

エレベーターについては建築物の用途や規模によらず点検の対象とされています。通常1年1回実施されます。

 

報告の義務者は、建物の所有者または管理者で、管理組合となります。

報告完了後、「報告済証」が交付されます

調査の費用は、エレベーター停止階数、点検回数、遠隔装置有り、無し、等によっても違いはありますが、 保守点検費用は、一般的な6階~10階建てマンションで、フルメンテナンス契約で1基あたり月額3~5万円台、POG契約で2~4万円台が相場です。

上記費用には、年1回の定期検査費用も含みます。

 

フルメンテナンス契約・・・通常使用において、通常発生すると予測される部品の取替え及び修理を含んだ契約

POG契約・・・定期的な点検、消耗部品の交換は、フルメンテナンスと同じです。但し、契約に含まれない部品の交換や修理などが発生したときは都度、別途請求される契約

 

調査報告をしなかった場合は、50万円以下の罰金となる罰則規定があります。

 

さらに、報告義務を怠って不測の事故や災害が起きた場合には、刑法ならびに民法によって罰せられます。

 

調査結果は、「要是正」「要重要点検」「指摘なし」に分けられ、すべての調査・検査項目において3つのいずれかの結果を報告することになります。

調査の結果、安全上問題ありと判断した場合は、所有者に是正を勧告、また、重大な不備がある場合は、使用禁止命令を出します。

定期点検

定期検査とは別に定期点検も行います。

 

定期検査とは、おおむね1年に1回「エレベーターが国土交通大臣が定める。基準に適合しているかどうか」を調べて報告する制度です。(建築基準法第12条)

 

定期点検とは、専門技術者がおおむね月1以内ごとに、「エレベーターに異常がないかどうか」を調べることです。

 

 

定期点検の目的は、”安全保持”と”性能維持”および法令(建築基準法第8条「維持保持」)の遵守です。

 

安全保持:

 

人を乗せるエレベーターは、不具合が発生すると、人の命に関わる事故が発生する恐れがあります。

例えば、電気系統や扉開閉装置の故障による「閉じ込め事故」、巻上機ブレーキ制御の不具合による「段差発生・転倒事故」と「人が挟まる事故」などです。

 

性能維持:

 

エレベーターを使用していると、部品の摩耗や破損により性能が低下します。(例:乗り心地が悪くなるなど)

また、定期的な点検を怠ると、部品の寿命が短くなり、通常より部品を早く交換する必要が発生します。例えば、グリスが不足して、ガイドレールとガイドシューの摩擦が大きくなると、部品の劣化が早くなります。

  定期検査 定期点検
根拠法 建築基準法12条(義務規定) 建築基準法8条(努力規定)
内容 エレベーターが国土交通大臣の定める基準に適合しているかどうか調べる。 エレベーターに異常がないかどうかを調べる(安全維持・性能維持)
作業者 1級建築士/2級建築士/昇降機検査資格者 専門技術者
時期 6カ月から1年に1回  月1回
記録保管 3年以上 3年以上