決算書のチェックポイントを見て行きましょう。
会計報告書として、賃借対照表、収支決算書。
管理組合会計は管理費会計と修繕積立金会計に区分することが必要なので、それぞれに賃借対照表、収支決算書などの会計報告書を作成しなけれなりません。
場合によっては、駐車場会計などが別会計になっている場合もあります。
収入明細書・支出明細書、
未収金明細書・前払い金明細書・未払い金明細書など
原則的には、収入・支出項目のすべてに証憑書類が存在すると考えられますが一部の収入・支出項目について存在しない事も考えられます。
管理事務に要する費用のうち定額委託業務費については毎月の請求書および領収書が発行されていない場合がありますがこの場合は管理委託契約書でチェックできます。
あて名が組合員の皆さんの管理組合あて名となっていますか?
個人宛やあて名が記載されていない請求書がないかを確かめます。
自分たちの管理組合宛ではない証憑を発見したら、まず会計担当理事に質問して事実関係を確かめましょう。
代表的な証憑書類 | |
収入項目 | 入金通知、入金取引が記帳された預金口座の通帳など |
支出項目 | 支払先からの請求書、納品書、領収書など |
資産負債項目 | 現金実査表(金種ごとに数量を調べ、金額合計を試算したもの) |
全口座分を入手していますか?
預金の残高証明書については、一部の口座分だけの入手では不十分で、全口座分を入手することが必要です。
残高証明書は、現在の残高について、金融機関に基づいて、残高証明に記載した金額に間違いないと証明してくれるものですから、通帳よりも信頼できる資料になります。
必ず原本を確認する。
不正を防止するために残高証明書は必ずコピーではなく、原本を確かめることが重要です。
口座名義人が財産の分別管理方法に即した名義となっているかを確認しましょう。
重要事項書類説明書および管理委託契約書に定められた口座名義と一致しているかを確認します。
通常ありえませんが前期の収支計算書の次期へ繰り越す残高と当期の収支計算書の前期から繰り越された残高は一致していなければなりません。
もし一致していない場合は、例外的な処理が行われているか、もしくは決算書類報告書の作成に誤りがあるかを表していますので会計担当理事に質問して、不一致となった原因について説明を求め、修正の理由について確かめましょう。
当期の会計報告書を構成する各種書類間で同一項目が一致していないということも通常ありえません。不一致があると自己矛盾していることになり、それだけで決算案としては失格になります。
勘定科目明細書が添付されている場合には会計報告書の同一勘定項目明細書が添付されている場合には会計報告書の同一勘定項目の計上額と勘定項目明細書の残高がいっちしているかを確かめます。
貸借対照表に計上された未収金残高と勘定項目明細票の未収金明細書の合計額が一致していなければ、勘定科目明細書として添付する意味がありません。
収支決算書および賃借対照表について、同一項目の前期実績と当期実績を比べて増減金額および増減率を求めて、大きく増減している項目がないかを調べます。
実績が予算を上回ることは、予算準拠主義を原則とする管理組合合計においてはあってはならないことであり、予算で承認された金額以上に支出が可能であるとすればそのような管理体制であること自体が問題となります。
また、実績が予算を下回る状態には
・支出を節約したため、結果として予算を下回った。
・予算計上額の見積が適切でなく、結果として予算を下回った。
予算の策定方針どおりの予算となっているかを、実際の会計報告と比較して検討します。