【理事長】管理業務委託費がどうも高すぎるような気がするだが・・・
【管理士】一般的に新規分譲時の管理費と修繕積立金では、管理費は高く修繕積立金は安く設定されています。
【理事長】何故、管理費は高く、修繕積立金は安く設定しているの?
【管理士】マンションデベロッパーの不動産開発販売会社では、系列のマンション管理会社のために管理費は高めに設定されています。一方、修繕積立金は直ぐに必要となるものではないのでかなり安めに設定して、売りやすく買いやすいものにしようとしています。
【管理士】買う側も、ローン・管理費・修繕積立金のトータルな月々の返済額は気にしますが、管理費と修繕積立金の内訳までは気にしません。
【管理士】最近分譲されているタワーマンションでも、数千円レベルですから、あり得ない数字で、段階的に引き上げる計画です。
【理事長】そうなんだ。
修繕積立金の初期設定額は安すぎます。マンションデベロッパーの不動産開発販売会社が作成した長期修繕計画では、数年毎に値上げされることを前提に大規模修繕工事の実施計画を見積もっています。
それでも第1回目の大規模修繕工事を実施した後では、ほぼ残高は限りなく「0」となり、さらなる引き上げ行うか?2回目の大規模修繕工事の実施時期を遅らせたり、実施内容を簡素化したりしなければならなくなります。
そこで、割高な管理費を引き下げて、その分を修繕積立金を引き上げる事が必要です。
◎管理委託業務費を総額で5%値下げして
管理会社に総額で5%の値下げ要求して、交渉の末3%値下げを勝ち取る。
「交渉してよかった。このご時世、十分安くなった。」という気持ちになりますが、この方法はよくありません。
管理会社は将来値下げ要求が来ることを見込んでいて、管理委託業務費は高めに設定されています。
◎管理会社を変更する
管理費を値下げするために、管理会社を数年ごとに変更するという手法を取るマンションも見受けられますが、好ましい方法ではありません。
管理会社側は受注したいので見た目の価格は安く提示してきます。安かろう悪かろう・・・と成りかねません。
手間はかかるかもしれませんが、地道な事前準備と交渉プロセスが必要です。
管理費を安くするための事前準備と交渉プロセスによって、次のようなベネフィットも得ることができます。
●管理費を安くするために、無駄・割高な支出がないかと、管理組合(理事会・組合員)が管理費会計に関心が向きます。
●自分たちで出来る事は、自分たちで行うという意識が芽生え、より良いコミュニティ形成のきっかけとなります。
無駄・割高な管理費会計の支出を抑えて、その分不足しがちな修繕積立金会計を増やしましょう。
また、駐車場使用料などの施設使用料収入の使い道を見直しましょう。
自転車置場の不足に困っていたあるマンションの理事長さんが、ネットで複数の業者に声をかけて、現場を案内し、要望を伝え、見積をお願いしました。
同時に管理会社にも見積提出をお願いしたのですが、管理会社は辞退しました。
理由は、組合が独自に取得した見積額よりかなり高い見積額になるのは間違いないからという事でした。
理事会としては、改修工事に伴い、自転車の一時退避場所の確保や、そこへの誘導など不安なこともあったのですが、理事会メンバーの協力もあって、無事増設工事を終えることができました。
このことで、自転車置場不足の問題解決だけでなく、理事会メンバーの絆も強まったと喜んでおられました。
◎相場を知り、交渉する
複数の管理会社から見積を取り、相場をしる。そして具体的な委託作業毎に目標額を設定して交渉してみて下さい。場合によっては、委託作業仕様を変更することも交渉材料としてみて下さい。
◎無駄な作業を省く
管理員と清掃員を別々に使用している場合、管理員に清掃業務を兼務してもらう。清掃仕様を簡便化する。定期清掃頻度を3ヶ月に1回から4ケ月に1回に削減するなど不必要な作業を省くなど。
◎組合独自に複数から見積を取る
補修改修工事など業務委託をする時は、必ず3社以上の見積を取る。この内最低1社は管理会社経由でなく組合独自に業者を探して見積依頼することが大事です。
◎組合自身が行う
究極は管理会社に委託しないで、自主管理で組合運営を行うことです。全てでなく一部だけでも組合独自に実施することから初めてみて下さい。
コミュニティ形成のきっかけになります。
まずは、管理費会計、修繕積立金会計の収支報告書の内容をながめてみよう。
そして、不明点は確認しよう。