【理事長】最近、居住者の入れ替わりが激しくて、マナー違反や迷惑行為のクレーム多いんだ。どうしたらいいだろうか?
【管理士】マンションは住民間のトラブルが起きやすい住環境なんです。
【管理士】年齢も家族構成も生活習慣も異なる人々が上下左右の壁ひとつ隔てて生活する訳ですからね。本当は戸建てより気遣いが必要な場所なんですが、近所付き合いをしなくて済みからと引越てくる人も多いようです。
【理事長】そういえば、外国人の入居者が増えているとの話も聞くな
【管理士】管理規約やいろんな案内文書も複数言語で用意するところも出てきました。
騒音、駐車、駐輪、ゴミ捨て、ペット、喫煙、子供の悪戯など、トラブルは絶えません。
マンションは共同住宅です。本当は戸建て住宅以上に周囲への気遣いが必要な建物構造なのです。
ところが、近所付き合いをしなくていいからとマンション生活を選ぶ人がいます。
近所付き合いは、しなくてもいいですが、周囲への気遣いは必要です。ここを勘違いしている人が多いようです。
そもそも、年代も、家族構成も、それまで住んでいた生活環境も、価値観も異なる人々がある日から一斉にマンションという共同住宅空間で生活を開始するのです。
ましてや外国人も住むマンションではなおさらです。
一方で、以外に資産価値に大きく影響します。
マナー違反や迷惑行為が繰り返されると、次から次へと新たなマナー違反・迷惑行為を呼び込みます。そして、住人のマンションに対する愛着は薄れてきます。
逆に、マナー違反・迷惑行為の少ないマンションでは、住人のマンションに対する愛着が高まります。
結果として、きれいなエントランス・エレベーター・共用廊下・ゴミ置き場・自転車置場となり、例えば新規のマンション購入予定者へのイメージアップとなり、資産価値もUPします。
どのマンションにもマナー違反や迷惑行為を繰り返す人(困ったさん)は1人や2人は必ずいます。
マナー違反・迷惑行為を「0」にすることはできませんが、少なくすることはできます。
ワンちゃんの為にいつも窓を少し開けて外出していた共働きのご家庭。
ですが、夫婦がいる時は、一声も鳴かないのに、留守番が苦手ならしく、ずっと鳴き続ける声がマンション中に聞こえていました。
臨時総会の時に、遠慮がちにお話をされた入居者のクレームを理事会理事長が先方に伝え、「窓を閉める」という事で問題は解決しました。ほんの少しの気遣いで解決した好事例です。
◎現状を知ることから
どのマンションにも、マナー違反を繰り返す人は少なからずいます。「0」にすることは困難ですが、少なくすることは可能です。
意外にどのような行為がマナー違反となるのか、また実際にどのようなマナー違反行為が起きているのかを知らない住民も多いものです。
マナー違反行為は黙認せず、地道に継続的に啓蒙活動することです。
◎地道な啓蒙活動
マナー違反・迷惑行為に関する注意文書を掲示板やエレベーター内に掲示します。
時には、全戸投函することも有効です。
注意することは、その文書内容は、文字だけでなく、イラストや写真を入れたりして、少しでも注目を集めて、読まれる工夫をしましょう。
また文面も威圧的なものでなく、協力を要請するソフトな文面とすることも必要です。
威圧的な文面では反発心をあおってしまうこともあります。
新規入居者向けや長く住んでいても忘れている人もいるので、ゴミ捨てや来客用自転車置場の利用方法などマンション内でのルール集を作成して適時投函することも効果があります。
◎迅速な対応と継続的な対応
これらの対応は出来る限り迅速な対応が必要です。対応までに時間が経過すればするほど、そのルール違反・迷惑行為は許容されていると思い。当事者は繰り返しますし、他の人も同じ行為をするようになり、広がってしまいます。
また、一度注意文書を掲示したからと言って、すぐに結果はでません。結果がでたとしてもしばらくするとまた同じ行為が繰り返されます。
そういうものだと、気長に結果を待つ心がけも大切です。あせっても、気にしすぎてもこちらがしんどくなるだけです。気長に対応しましょう。
少しづつですが、必ず少なくなっていきます。住人に意識が浸透していきます。
より多くの住人が意識するようになれば、(困ったさん)の行動も抑制されます。
◎公平な第三者の介入
ただ、トラブルが起こってからは、住民が直接話し合うのも、理事会が仲裁に入るのも難しいものです。マンション管理会社もこの手の問題には逃げ腰です。
このような場合、部外者であり専門家であるマンション管理士が公平な第三者としてトラブル対応に当たるのが適切です。
「0」にすることはできませんが、時間がかかっても少なくすることは必ずできます。
みんなが気持ちよく暮らせて、しかも、マンションの資産価値も上がります。
これって、結構、重要なポイントです。
どんなルール違反や迷惑行為に困っているかアンケート調査を実施してみてはいかがでしょうか?そしてアンケート調査結果を住民に全戸配布する。このあたりから初めて見て下さい。
住民もどんなルール違反や迷惑行為が起きているのか知ることができ、考え始めるきっかけとなります。